(2019.10.27)

 

  

 

しばらく更新が滞ってしまい失礼しましたが、この間、2年振りにアメリカへ出かけてまいりました。


「アメリカへ行ってきます(行ってきました)」と言うと、必ず「アメリカのどこ?」と訊かれます。今回はアリゾナ州(AZ)とユタ州(UT)を周遊してきましたが、口で言ってもなかなか分かってもらえません(笑)。右の地図の青線で囲んだ辺りになります。
 
今までにN's TOWNでは、

2013(平成25)年の5月にワシントンDCからニューヨークにかけての東海岸を
2014(平成26)年の10月にグランドキャニオンやモニュメントバレーなどのいわゆる「グランドサークル」を
2015(平成27)年の10月にイエローストーン国立公園を中心にワイオミング州やコロラド州といった地域を
2017(平成29)年の6月にヨセミテ国立公園とサンフランシスコを

取材し、その様子をご覧いただいてきました。

今回はアメリカ取材の第5弾(完結編)として、2014年に訪問の際日程の都合で割愛した先を中心に、10日間周遊してきたので、その模様を「アメリカ感動の旅 Season5」と題してお目にかけることにします。



全体の行程は下の地図を参照願いますが、フェニックスを起点に、アリゾナ州からユタ州を反時計回りに、終点のラスベガスまで、約1,300マイル(約2,100km)を走破しました。

ちなみに、上の地図は直径が460kmあって、その円内に8つの国立公園、16の国定公園、19の国立モニュメント(保護地域)や州立公園が集まることから、「グランドサークル」と呼ばれています。


終始好天に恵まれたこともあり、例によって山ほど撮ってしまったので(笑)、写真の整理/編集にいささか時間を要することから、今号ではひとまず上の地図の青線部分を「前編」としてご覧いただき、次号以降、「中編」〜「後編」に分けて順次アップする予定です。


…ということで、前置きはこれくらいにして本編へ進むことにします。


現在、起点のフェニックスも、終点のラスベガスも日本からの直行便がないため、今回はシアトルで乗り換えることにし、成田から日本航空(JL-68)で出発します。シアトルまでは約9時間の飛行です。

シアトルでアメリカン航空(AA-500)に乗り継いでフェニックスへ向かいます。シアトルはアラスカ航空の拠点のひとつになっているため、イヌイット(アラスカエスキモー)のウイングマークをたくさん見かけました。

シアトルから3時間弱でフェニックスへ到着します。乗り継ぎ時間を含めて成田から合計16時間弱といったところです。

フェニックスから高速道路17号(I-17)を一路北上します。

ちなみに、「I」の符号がつく高速道路はInterstate Highway (州間高速道路)のことで、米国の基幹道路網を構成しています。最高速度は州によって異なっていて、このあたりは75マイル(約120km)です。

さらにちなみに、Interstate Highwayの下位には、US Highway(日本の基幹国道に相当)、State Highway(日本の地方国道に相当)、County Highway(日本の県道に相当)などがあります。
フェニックスから1時間半ほどで今回の最初の訪問地、「セドナ」(Sedona)へ到着します。
セドナはもともと「ネイティブアメリカンの聖地」といわれたところですが、今ではそれが転じて「スピリチュアルな観光地」として人気のスポットです。
一帯は赤茶けた岩山が一面に広がるところからレッドロックカントリー(Red Rock Country)と呼ばれています。
見どころは「ボルテックス」(Vortex)というパワースポットで、地球の持つ「気」を体感できる場所いわれていますが、人一倍霊感の弱い管理人には正直よく分かりませんでした。
 
実際のボルテックスというのは岩山や小高い丘になっていて、その周囲や頂上で瞑想する人をたくさん見かけました。なぜか女性が多かったように思います。

セドナは国立公園ではないので入園料は要りませんが、駐車券(域内1日5ドル)を買って、ダッシュボードなど外から見えるところに置いておく必要があります。



それでは、有名な4つのボルテックスを順に見て回ります。


フェニックスから北上してくると最初に眼に入るのが「ベルロック」(Bell Rock)というボルテックスです。
呼び鈴に似た形からその名前がついていて、男性気の強い岩山といわれています。

アメリカの「南部」だけあって珍しいサボテンをあちこちで見かけました。

こちらは「ホーリークロス教会」(The Chapel of the Holy Cross)です。
1ドルから献灯できます。クレジットカードも使えます(笑)。

この教会自体はボルテックスではありませんが、独特の雰囲気があります。

小高い丘の上に建っていて、先ほど訪れたベルロックの裏側を遠望することができます。 

教会を取り囲む岩山です。

これは「カセドラルロック」(Cathedral Rock)というボルテックスです。

画面左手の岩山が大聖堂のドームに似た形からその名前がついていて、女性気が顕著な岩山といわれています。

オーククリーク川の対岸にあるCrescent Moon Ranchというところから眺めたカセドラルロックです。

Ranchというので元は牧場の跡かと思われますが、灌漑水路や水車小屋などが残されています。

ボルテックスの気は感じられませんでしたが、水辺のとても長閑なところで、慌ただしい旅のひとときをリラックスすることができました。

ここは「エアーポートメサ」(Airport Mesa)というボルテックスです。

空港近くの台地の頂上にあって、セドナの全周(360度)を一望できます。

また、町の中心からも歩いて行けるため人気のボルテックスです。

とくに、ここから眺める朝日と夕日が絶景というので行ってみました。

 南側にはベルロックやカセドラルロックが望めます。

北側にはサンダーマウンテンがセドナの町の背後に迫ります。

夕日に向かって瞑想する女性()と、暮れなずむセドナの町並み()です。

さすがパワースポットだけあっていろんな人がいます(笑)。


翌朝、日の出の直前に見事な曙光が表れました。

サンダーマウンテンの頂きが朝日に輝きはじめ、次第にそれが麓の方へ広がっていきます。

日が昇るのを待ちかねたように熱気球が上がってきました。

今朝は全部で9機を数えることができました。

ベルロックにも朝日があたり、また新しい一日が始まります。

最後にボイントンキャニオン(Boynton Canyon)というボルテックスを訪れました。

画面左手の突き出た岩がカチーナウーマン(Kachina Woman)といって、このボルテックスのシンボル的存在です。

カチーナウーマンの対面にあるノエル(Knoll)という岩山です。

カチーナウーマン(女性気)とノエル(男性気)の間(オレンジ色の服の人がいる辺り)に立つと、エネルギーのバランスが整えられて子宝に恵まれるといいます(!)。

セドナにはこのようにねじ曲がった木をよく見かけますが、これも気の作用によるものとか…。
ここをクリックすると大きなパノラマ写真が開くのでご覧下さい → panorama

どこからともなく笛の音が聞こえてきたと思ったら、岩山(ノエル)の頂上で男性が笛を吹いていました。

あとで調べてみると、この人はロバートさんといって、ボイントンキャニオンの主とも言われている人だそうです。

出会った人にハート型にかたどった小さな岩()をプレゼントしていて管理人もいただきました。

…ということで、このあたりでセドナを切り上げて「モニュメントバレー」(Monument Valley)へ向かいます。


モニュメントバレーは前回(2014/10)も訪問したところで、その圧倒的な迫力に「こんなところがあるんだ…」と息をのんだ記憶が強烈だったので、「あの感動をもう一度…」ということで立ち寄ってみました。
…が、前回はあんなにワーキャーはしゃいで撮っていたのに(笑)、妙に冷静に眺めている自分に驚きました。

人間の記憶や感動の仕組みがどうなっているのか知りませんが、やはり凄い景色には変わりないのに、感動は前回の8割程度(笑)といったところでした。

それでも折角なので、今回も全長17マイル(27km)の探勝道路を周回しました。

全線が砂塵もうもうとしたラフロードのため、セダンなどはお腹を擦る危険があるので、SUVのような腰高の車が安心です。

また、未舗装路での事故や損傷はレンタカーの保険が免責されるという情報(未確認)もあるので、乗り入れる場合は気をつける必要があります。
ここは同じアリゾナ州ながら、夏時間の採否の関係で、セドナと+1時間の時差があるため、日没に急かされながら慌ただしいバレードライブ(Valley Drive)になりました。
ここは「フォレストガンプポイント」(Forrest Gump Point)と呼ばれているところで、前回(2014年10月)も立ち寄りましたが、今回も立ち寄ってしまいました(笑)。

映画「フォレストガンプ」(1994年、パラマウント映画)で、主人公(トム・ハンクス)が振り返って走るのをやめるポイントで、モニュメントバレーから20分ほど東進した場所です。

道路(US-163)がモニュメントバレーへ向かって一直線にダイブする光景は何度見ても見飽きない景色で、皆さん思い思いのポーズで記念撮影していました。ちなみに、午後は逆光になるので朝の早い時間が狙い目です。


フォレストガンプポイントからUS-163をさらに10分ほど東進したところに「メキシカンハット」(Mexican Hat)という小さな町がありますが、町の外れにソンブレロの形をした奇岩があって、町の名前の由来にもなっています。

近くに焚火のあとがあると思ったらキャンピングカーが止まっていました。



メキシカンハットを過ぎるといよいよ人煙は途絶え、道路以外には人工物が見当たらない、岩山と赤土の大地がどこまでも広がる世界に入っていきます。

ユタ州というのはアメリカでも屈指の辺鄙なところですが(←もし地元の人が見ていたらゴメンナサイ)、そのユタ州の中でもこの辺りは州の東縁にあたり、コロラド州に接するすこぶるつきの辺境で、管理人は「奥ユタ地域」、「Deep Utah District」、略して「DUD」と勝手に名づけて(笑)きました。

それだけに、この地域は今なお大自然が手つかずのまま残されていて、アメリカの原風景ともいうべき大パノラマの宝庫のため、絶景大好きの管理人にとっては長いあいだ憧れの地として、ずっと訪問の機会を窺っていたところです。

周辺のGoogle Map画像(↑)と、DUDの道路概念図(→)を作成したので、(ほとんどの方は関心がないと思いますが)(笑)、参考までに貼付しておきます。

冗談はさておき、本編では少しでも読みやすくするため、あえて細かい現地情報は端折っているので、もしDUD方面の周遊をご検討中で、もっと詳しい情報がご入用の方は、管理人までご照会ください。お役に立てるかも知れません。

US-163から分かれてUT-261(ユタ州道261)をしばらく北上すると、行く手に長い崖が立ちはだかってきます。
これはシーダーメサ(Cedar Mesa)という広大な卓状台地(Plateau)の南縁で、比高が300〜400m(1,200フィート)あります。

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道路はこの先、ヘアピンと急勾配(10〜11%)が連続する「モキダグウェイ」(Moqui Dugway)という4.8km(3マイル)の険路をよじ登って台地の上へと続いていますが、(例によって)ガードレールがないのと、崖がややひな壇状になっているためか、下から眺めただけでは道路を視認することができません。このため長大車などは通行を控えるよう警告する標識が何度も表れますが、普通車であれば悪天や夜間を避けて慎重に走行すれば、さほど危険なことはありません。

今回そんな厄介なルートをわざわざ選んだのは…
そうです!
この大絶景を見るためにやって来ました。

ここをクリックすると大きなパノラマ写真が開くので是非是非ご覧ください 矢印左 panorama 矢印右



いかにもDUDらしい雄大で荒々しい大絶景を前に暫し恍惚至福のひとときを堪能しました。


…ということで、前編はここまでです。
いかがでしたでしょうか。


次回、中編は11月17日にアップする予定です。
引き続きお立ち寄りのうえご笑覧をお願いします。