(2017.7.30)

 

 

 

しばらく更新が滞ってしまい失礼しましたが、この間、2年振りにアメリカへ出かけてまいりました。

N's TOWNでは、
■ 一昨年の秋にイエローストーン国立公園を中心にワイオミング州やコロラド州といった地域を
■ その前年にはグランドキャニオンやモニュメントバレーなどのいわゆる「グランドサークル」を
■ さらにその前年にはワシントンDCからニューヨークにかけての東海岸の様子を
ご覧いただいてきました。

今回は米国取材の第4弾として、サンフランシスコからヨセミテ国立公園を8日間周遊してきたので、その模様を「アメリカ感動の旅 Season4」と題してお目にかけることにします。

写真の整理/編集にいささか時間を要することから、今号ではひとまず「前編」として、サンフランシスコの様子を、次号以降、「中編」〜「後編」に分けて(予定)、ヨセミテの様子をアップする予定です。

サンフランシスコは超有名な観光地でもあり、皆さまの方が管理人より余程よくご存知と思うので、観光案内のようなことはガイドブックに譲り、ここでは管理人が実際に見聞きしたり感じたりしたことや、どうでもいいトリビアやウンチクといったN's TOWNならではのスタイルで進めて参るつもりです。

…と、自分でハードルを上げてしまって後悔していますが(笑)、それでは出発進行!


JALのサンフランシスコ便は(成田空港ではなく)羽田空港から発着します。

ご覧のように「001便/002便」というご大層な便名を冠していますが、これは戦後に我が国の国際線が復活した際、最初に就航したのがサンフランシスコ便だったことによるといわれています。

第一便が羽田から飛び立ったのが1954(昭和29)年2月2日、機材はDC6Bというプロペラ四発機(City of Tokyo号)で、途中、ウェーキ島、ホノルル(オアフ島)で給油、寄港しながら、31時間かかってサンフランシスコに到着したとあります。

料金はツーリストクラス(←現在のエコノミークラスに相当)で175,700円でした。大卒初任給が5,600円だった時代ですから、現在に換算すると約6百万円というとんでもない金額になります。ちなみに、現在のエコノミークラスは12〜3万円(正規割引運賃)、ファーストクラスでも約150万円といったところです。

さらにちなみに、ANAの「001便/002便」はワシントンDC(ダレス国際空港)便に割り当てられていて、こちらは米国の首都に敬意を表したものかと(勝手に)推測します。

おっと、こんなところでいきなり「脱線」していては先が思いやられるので、これくらいにして急ぎます(汗)。

羽田空港から約9時間でサンフランシスコ空港へ到着します。さらに、偏西風が強まる冬場には8時間で到着するので、やはり西海岸は近いなぁと実感します。
今回も現地の移動にレンタカーを利用しましたが、レンタカーセンターがターミナルビルから少し離れたところにあるので、「エアートレイン」という空港内を循環しているシャトルで向かいます。
今回はサンフランシスコ〜ヨセミテの往復約800km(約500マイル)を走るだけなので、普通のセダン(NISSAN ALTIMA)をチョイスしました。
空港からダウンタウンまで通常は30分ほどですが、この日は米国最大のLGBT(いわゆるセクシャルマイノリティ)のイベント「サンフランシスコ・プライドパレード」が行われて街中が大渋滞し、2時間(!)かかってホテルへ辿り着きました。
小型機がワインの宣伝用バナーを曳航していますが、あしらわれているレインボーカラーはプライドパレードにちなんだもと思われます(多分)。

先ずはアルカトラズ島(Alcatraz Island)です。
アルカトラズ島はサンフランシスコの沖合2.4kmに浮かぶ小島で、昔は灯台、軍事要塞、軍事監獄、そして1963(昭和38)年まで連邦刑務所として使用され、現在は国立公園局が管理する史蹟として一般観光客に公開されています。

アルカトラズ島へはフィッシャーマンズワーフ近くのピア33(Pier33、第33桟橋)から出港するツアーに参加するしか行く方法がありませんが、週末や早朝の人気便は一ヶ月前に満席になってしまうことが少なくない(→当日券は当てにしない方がいい)ため、日程が決まったら先ずはツアーの予約を済ませる必要があります。
ピア33から15分ほどでアルカトラズ島へ到着します。
かつては6基あった監視塔も現在残るのはこれのみです。
カモメをはじめとした海鳥の生息地としても知られていて、見学通路の脇で営巣している姿をみることができます。

このように大都会の灯が間近に見えるところで収監されるというのも、受刑者には切ないものがあったかと思われます。

 
アルカトラズ島はショーン・コネリーやニコラス・ケイジが好演した映画「ザ・ロック(The Rock)」(1996年、Buena Vista Pictures)の舞台にもなったところです。DVDがレンタルされているので、ご関心のある方はぜひ一度ご覧ください。

(C) Walt Disney Studios Home Entertainment
ピア33などがある海沿いの道路はエンバーカデロ(The Embarcadero)といって、北にはフィッシャーマンズワーフ、南にはAT&Tパーク(MLBサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地)があります。
1853年創業のリーバイス(Levi Strauss & Co.)は、かつてのゴールドラッシュの時に金鉱労働者の作業服として誕生したのが始まりで、今も本社はここサンフランシスコにあります。このほか、アウトドア用品のノースフェイス(The North Face, Inc.)やパタゴニア(Patagonia Inc.)もサンフランシスコ生まれです。

このエンバーカデロを運行しているのが「Fライン」と呼ばれる路面電車で、各地で活躍したヒストリック・ストリートカーが当時の塗色で走っていて、ケーブルカーと共にサンフランシスコの名物として親しまれています。
Magic Carpet号 (サンフランシスコ)、1948(昭和23)年製です。

Gliding Beauty号 (ダラス)、1948(昭和23)年製です。

これら(↑↓)の車両はイタリアのミラノから来た路面電車で、1928(昭和3)年製の89歳ですが、年齢を感じさせない元気な走りっぷりです。
サンフランシスコというと「陽光輝く西海岸」といったイメージがありますが、沖合を寒流(カリフォルニア海流)が流れていて、海水温は年間を通して15〜20℃のため、気温は夏でも20℃を超すことはまれです。
たしかに日射しは強くてシッカリ日焼けするのですが、大気はどことなく冷涼で、スウスウするというか、うすら寒いというか不思議な感覚です。
陽が沈むとたちまち冷え込んできて、ほとんどの人はこの時期でもパーカーのようなものを羽織っています。もちろんアメリカ人のことですから、気温にかかわらず一年中Tシャツに短パンという人も少なくありませんが…(笑)。

フィッシャーマンズワーフ名物のクラムチャウダーです。いたるところで売っていますが、「ボウディン」(Boudin Bakery)という老舗のものが美味しいというのでいただきました。濃厚なクラムチャウダーの風味に爽やかな酸味の利いたパンが上手くマッチして、日本人の味覚にも合う一品です。

ピア39は全体が複合商業施設になっていて、2階建ての建物に100軒あまりのショップやレストランが並び、大勢の観光客で賑わっています。
ピアの突端にアシカのコロニー(Sea Lion Dock)があるというので行ってみましたが、夏のあいだは繁殖のためロサンゼルスの沖合まで南下してしまうようで、留守番の数頭(笑)を見るのみでした。

サンフランシスコ湾には有名なゴールデンゲートブリッジをふくめて5本の大きな橋が架かっていますが、その中でも最も通行量(27万台/日)が多いのがこのベイブリッジ(San Francisco-Oakland Bay Bridge)です。

(C) Caltrans
2層構造(上部が西行き5車線、下部が東行き5車線)になっていて、サンフランシスコ市内へ向かう西行きの場合のみ有料となります。これは他の橋も同様です。

湾央にある島を挟んで、写真(↑)に写っているサンフランシスコ側の西区間(West Span)と、対岸のオークランド側の東区間(East Span)に分かれていて、全長は約13.5km(約8.4マイル)あります。
ベイブリッジのたもとにリンコンパーク(Rincon Park)という小さな公園があって、キューピッド・スパン(Cupid's Span)というオブジェが展示されています。
サンフランシスコの街並みを背景に、キューピッドの弓矢が大地に突き刺さるという奇抜な意匠ですが、不思議と周囲の景観にとけ込んで調和しています。

ダウンタウンのパウエル通り(Powell St.)にあるケーブルカーの発着所です。
ここのケーブルカーは片運転台のため終端で方向転換する必要があります。
転車台(Turn Table)に乗った車体を人力で回転させて出発線へ送り出す様子は見ていて飽きることがありません。
その様子をビデオ(58秒)に撮ったので、下(↓)のをクリックしてご覧ください。
ここからは「パウエル〜ハイド線」(Powell-Hyde Line)と「パウエル〜メイソン線」(Powell-Mason Line)の2つの路線が出ていますが、サンフランシスコらしい起伏に富んだ景観を楽しむには「パウエル〜ハイド線」がお奨めです。
料金は一乗車(Single Ride)7ドルです。市バスが2.5ドル(65歳以上は1.25ドル)なのに較べると結構なお値段です。
ステップ乗車という「立ち乗り」がオシャレのようですが、勝手が分からない観光客はおとなしく着席しているのが無難のようです。

サンフランシスコはゴールドラッシュの時代に大きくなった街で、もともとの起伏に富んだ地形にはお構いなく、碁盤の目状に街区を定めて道路を通したため、とんでもない急勾配で道路が直登し直降するという景観をいたるところで見ることになります。
ここはフィッシャーマンズワーフの少し南にある「ロシアンヒル」(Russian Hill)というところで、一帯は閑静な高級住宅街といった佇まいです。
丘の標高は294フィート(約90m)で、サンフランシスコの数ある「丘」(Hills)の中ではとくに高いわけではありませんが、この丘の尾根というべき場所をハイド通り(Hyde St.)が南北に通じていて、そこをケーブルカーが走っていること、さらにこの丘を東西に横断するかたちでロンバード通り(Lombard St.)が直行していて、急坂を下る車列を眺められることから、サンフランシスコの「丘と坂」を象徴するスポットとして、一日中観光客が絶えないところです。
先に「サンフランシスコらしい起伏に富んだ景観を楽しむにはパウエル〜ハイド線がお奨めです」と書きましたが、それがこの場所です。

ケーブルカーはここからフィッシャーマンズワーフの近くの終点まで急坂を下っていきます。正面のサンフランシスコ湾に浮かぶのは、先にご覧いただいたアルカトラズ島です。
グーグルマップで勾配を計算してみると、483m(0.3マイル)行って75m(246フィート)下っているので※約155‰(パーミル)になり、なかなかの急坂です。

※ 1km進んで155m上る(下る)勾配で、傾斜角にして8.8度になります。わが国の鉄道と比較すると、旧信越線(横川〜軽井沢)が66.7‰、箱根登山鉄道が80‰、大井川鐵道井川線が90‰ですから、ケーブルカーとはいえ桁違いの急勾配です。

一方、ロンバード通りの方は斜度が27度もあるので、さすがに直降はできないため、ヘアピンカーブを8個組み合わせたクネクネ道(crooked street)を、制限速度5マイル(約8km)でそろりそろり下ることになりますが、聞くところによると、地元の車は滅多に通らず、通過する車は観光客がほとんどだそうです。
折りから道路の両側にはアジサイの植え込みが満開で、ちょっと日本的な景観でもありました。
その様子もビデオ(1分11秒)に撮ったので、下(↓)のをクリックしてご覧ください。
 
 ちなみに、この場所は東向きのため、午後は逆光というより「日陰」になってしまうので、午前中がお薦めです。

坂道の多いサンフランシスコでは、縁石側へハンドルを一杯に切って駐車するのがローカルルールで、万一ブレーキが緩んで転動しても本線へ流出しないようにしていますが、このあたりはあまりに急勾配のため、それでも不十分とみえて、車道に対して直角に(!)駐車するよう定められています。
ご存知「ゴールデンゲートブリッジ」です。
ゴールデンゲートブリッジは1937(昭和12)年5月の開通ですから今年でちょうど80年になります。
ゴールデンゲートブリッジが架かるゴールデンゲート海峡は、サンフランシスコ湾と太平洋をつなぐ唯一の海峡で、広大な湾の海水が干満のつど最狭部1.6kmの海峡を出入りするため、潮流の速度は最大6ノット(秒速3メートル)になります。

資料を繰ってみると、この日はちょうど大潮にあたり、干満の差は約2.4m(7.9フィート)になり、橋上からもあちこちに潮目が見てとれました。

ちなみに渦潮で有名は鳴門海峡では最大10ノット(秒速約5メートル)に達するようですが、こちらは水深や特殊な海底地形も関係しているようです。
この場所はサンフランシスコ側の展望台で、ツアーなどでは必ず立ち寄る場所です。記念写真を撮られた方も多いことと思います。市内からの交通の便がよく、ショップやレストランも整備されていますが、橋が南北に架かっているため、今回のように午後に訪れるとどうしても(半)逆光になってしまい、今ひとつピリッとしません。さりとて、午前中に訪れると霧がかかっていることが多いようです。
また、展望台が橋とほぼ同じ高さのため変化に乏しく、もう少し俯瞰したいところでもあります。
そこでネットで調べてみると、対岸の丘の上にもフォトスポットがあることを知り、ヨセミテからの帰途にトライしたので、その様子は「後編」でご覧いただく予定です。

アメリカ人というのは本当に国旗が大好きで、どこへ行っても大きな星条旗が揚がっています。我が国はもとより、ヨーロッパでもこんなに国旗を見かけることはないように思いますが、抜けるような青空に翻る星条旗を見ていると胸が空くような気分になるから不思議です。

ゴールデンゲートブリッジもサンフランシスコ方面への南行きのみ有料になります。ゲートに「DO NOT STOP」と表示されているのは、2013(平成25)年から完全電子徴収システム※になっていて、現金ブースがないためです。

※ 我が国のETCシステムとナンバープレート認識システムを組み合わせたようなシステムで、すべての通過車両を捕捉して課金することができます。詳しい説明は割愛しますが、ご関心のある方は<こちら>をご参照ください。
ふたたびフィッシャーマンズワーフの近くの海沿いへ戻ってきました。
この時期は日の入りが遅い(この日は20:35)ため、ジョギング、サイクリング、散歩など、皆さん思い思いのスタイルで初夏の夕暮れを楽しんでいます。
ゴールデンゲートブリッジの向こうに夕日が沈んでいきます。
(NHK BS3)のエンディングテーマ(←こちら)が聞こえてくるようなシーンでした。
いま写真を整理してみて、「ここでこそビデオも回せばよかったなぁ」と思っています(笑)。



「前編」が長くなってしまって先が思いやられますが(笑)、
これにてサンフランシスコを切り上げて、いよいよ本題のヨセミテへ向かいます。

次回の更新は8月13日の予定です。
ぜひお立ち寄りのうえご笑覧ください。