(2014.11.9)

 

 

先号はミニ更新で失礼しましたが、その間、2週間にわたりアメリカへ行って参りました。N's TOWNとしては、2006年のハワイ(84号85号)、2011年のシカゴ(149号)、昨年の東海岸(186号187号)に次いで4回目の訪米になります。

今回はニューヨークおよびその近傍の散策と、グランドキャニオンやモニュメントバレーなどのいわゆる「グランドサークル」の周遊が主な取材先となりました。

写真の整理/編集にいささか時日を要することから、今号ではひとまず「序章
」(←相変わらず大げさですが…)として、ニューヨークおよびその近傍の様子をご覧いただき、次号以降、3回程度に分けて(予定)、「本編」としてグランドサークルの様子をご覧いただくことにします。
まず、成田空港から日航機(JL-006)でニューヨークへ向かいます。機材はB777-300ERで、各社が長距離便に投入している最新型で、次期政府専用機に決定した機種でもあります。
アメリカ人にとっては、メモリアルデー(5/25)からレイバーデー(9/1)までが「夏」とのことで、今回訪問した10月の下旬は、街も人もすっかり晩秋の装いでした。

クライスラービル
マンハッタンの様子は昨年さんざんお目にかけた(187号ご参照)ので端折りますが、メトロポリタン美術館の周辺とセントラルパークの様子だけザッとご覧下さい。
今回は、前回見逃した東洋関係のコレクションを中心に見学しました。海外に流出した日本画や浮世絵といったものを期待して行ったのですが、古代中国の展示物がほとんどで、案内所で聞いてみると、ボランティアと思われるご年配の婦人が、「そういったものはボストン美術館が充実」とたいへん丁寧に教えていただき恐縮した次第です(恥)。

セントラルパークは黄葉の真っ最中で、リス君も木の実の収集に余念がありません。
ザ・レイク(The Lake)湖畔のボートハウスも黄葉に包まれて早や晩秋の佇まいです。

これは「ボウ・ブリッジ(Bow Bridge)」といって、数あるセントラル・パークの橋の中でも最も美しい橋といわれています。

ニューヨークといえばマンハッタンのことばかり頭に浮かびますが、マンハッタンのあるニューヨーク「市」はニューヨーク「州」の最南端に位置し、ニューヨーク州自体はずっと北部まで拡がってカナダとの国境に達し、有名なナイアガラ滝があるバッファローもニューヨーク州になります。

ちなみに、州都はニューヨーク市ではなく、オールバニ(
Albany)という人口10万人足らずの小さな町で、マンハッタンからハドソン川に沿って300kmも北上したところにあります。

そこで、今回はマンハッタンのグランドセントラル駅から、メトロノース鉄道に乗って北部の郊外へ散策に出かけてきました。

メトロノース鉄道は、文字通りニューヨーク市の北部に伸びる通勤路線で、マンハッタンの地下鉄や市バスを運行している
Metropolitan Transportation Authority、 略称=MTA)の子会社になります。

路線はハドソン川を挟んで東岸に3路線、西岸に2路線あって、今回はそのうち東岸のハドソン線(上の地図の緑色の路線)を終点のポキプシー(
Poughkeepsie)という所まで行ってきました。
グランドセントラル駅の立派な「改札口」からホームへ入りますが、改札機もなければ駅員さんもいません。
少し明るめに撮っていますが、日本の駅に較べるとずいぶん薄暗い印象を受けます。

改札がないかわりに、車内で車掌さんが検札に回ってきて、切符を回収して検札済票(上の写真ご参照)のような紙切れを前席の背もたれに差し込んでいきます。駅で改札する方がよほど手間がかからないと思うのですが…(笑)。

標準軌(1,435mm)のため、車内は新幹線と同じ2列+3列の座席配置で、とてもゆったりしています。

線路はひたすらハドソン川の東岸を北上します。日本であればいくら川沿いといっても、もう少し川岸から離れて、なおかつ嵩上げした所を走りますが、ここでは水しぶきがかかるくらい水際ギリギリのところを走ります。

このあたりは川幅が3〜4qもあり、満々と水を湛えて悠然と流れるハドソン川を車窓間近に眺めるのは壮観ですが、増水や冠水のおそれはないのか余計な心配をしてしまいます。

グランドセントラルからポキプシーまで119qあり、ほぼ中間のクロトン・ハーモン(
Croton-Harmon)というところまでは電化されていて、列車密度も相応にありますが、そこから先は日中はほぼ1時間に1本のペースです。

また、終点のポキプシーから先も線路は繋がっていて、アムトラック(
Amtrak)がペンステーション(マンハッタン)とバッファロー方面を結んでいます。

したがって、このメトロノース・ハドソン線というのは、クロトン・ハーモンまでが電車区間(電化/複々線)、ポキプシーまでが中距離列車区間(非電化/複線)になり、さらにその上を長距離のアムトラックが走るという構造で、常磐線でいえば、上野から取手までの電車区間、水戸/勝田までの中距離列車区間がこれに相当します。←いささかこじつけですが(笑)、距離もほぼ符合しています。

グランドセントラルから1時間50分でポキプシーに到着します。この日は10分遅れで到着しましたが、この程度は「定時」の範囲のようで、駅の表示は「on time」でした。
この路線はかつてハドソン・リバー鉄道とニューヨーク・セントラル鉄道だった歴史のある路線で、ポキプシーの駅舎も威風堂々とした趣があります。

ちなみに、グランドセントラル駅もニューヨーク・セントラル鉄道のターミナルとして建設されたもので、いずれも鉄道が時代の主役であった頃の栄光を今に伝えています。

ポキプシーは州都オールバニとマンハッタンのほぼ中間にある静かな小さな町で、ここに架かっているかつての鉄道橋(ポキプシー橋)を歩行者専用橋として生まれ変わらせ、この一帯を「ウォークウェイ・オーバー・ザ・ハドソン州立歴史公園 (Walkway Over the Hudson State Historic Park)」として整備しています。
ここをクリックして大きなパノラマ写真をご覧下さい。
橋の距離は1.28マイル(約2km)、水面からの高さは212フィート(約65m)あり、歩行者専用橋としては世界最長とのことです。

あたりはちょうど黄葉のシーズンを迎えていて、美しい渓谷を眺めながら2時間余りウオーキングを楽しみました。
バッファロー方面へ向けてアムトラックが出発していきます。

ハドソン川の西岸には貨物線があって、100両を超す長大貨物が結構な頻度で走っています。
また、下流には現役のミッド-ハドソン橋(Franklin D. Roosevelt Mid-Hudson Bridge)が架かっていて歩道も併設されているため、両橋を巡るトレイルコース3.6マイル(約5.8km)を一周しました。

…ということで今号はおしまいですが、これのどこが「アメリカ感動の旅」?とご不審の諸兄姉、ごもっともです。

冒頭にお断りの通り、今号はあくまでも「序章(
Prologue)」であります。

次回更新(11/30)をお忘れなくお立ち寄りのうえご笑覧を願い上げます。
決してご損はさせません(笑)!

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