(2016.5.22)

 

 

 

「東北三大桜」というのがあって、弘前(青森)、角館(秋田)、北上(岩手)の桜が有名で、これらを巡るツアーも各社から販売されていて、参加された方も多いことかと思います。

N's TOWNでも一昨年の今頃に角館の桜を掲載しましたが、今回は「みちのくの桜」と題して弘前城と十和田市の桜を取材してきたのでご覧いただきます。

北東北の桜は関東地方などよりほぼ1ヶ月遅く、4月下旬〜5月上旬にかけて見頃を迎えますが、今年は暖冬の影響からか、満開日が北上では4月20日頃、角館や弘前でも20〜23日と、平年より約1週間早くなりました。

桜はとても花季が短い(開花から3日ほどで満開になり、さらに3日ほどで散り始める)ため、それでなくてもタイミングを計るのに苦心しますが、遠隔地の場合には航空券や宿泊等を事前に手配する必要があり悩ましいところです。

今回も開花情報と天気予報をにらみながら日程を決めたあとで天候不順な日が続いてしまい、開花情報が更新されるたびに満開予想日が後へずれて、結局、満開の2日前に現地入りする羽目になってしまいました(涙)。
先ず羽田から青森へ向かいます。

現地に到着してさっそく弘前市役所の屋上(観桜期間中は一般開放)へ上がってみると、幸い外濠端はまずまずの咲き具合で、取りあえず一息ついたところです。画面左手奥には津軽富士=岩木山(1,625m)の秀麗な姿を望むことができます。

このあたりは、弘前城の南縁にあたり、日当たりが良いため、城内でも比較的開花が早いようです。
ここは追手門口で、概ね八分咲きといったところです。
今回は「空振り」も覚悟して来ましたが、「八分咲き」であれば何とか写真になります。「五分咲き」以下では撮りようがありませんが、辛うじて最悪の事態だけは回避できそうでひと安心です(笑)。
追手門口から城内へと進みます。
 
杉の大橋を渡り、南内門をくぐって、二の丸へ進みます。
このあたりは、けっこう開花がすすんでいて、間もなく満開を迎える状態です。
二の丸の日当たりのよい場所では、もうほとんど満開といってよい状態です(嬉)。

下乗橋から本丸を望むところです。本来、天守閣は石垣の角(画面右手)に建っていますが、石垣の修復工事のため、昨秋の曳屋工事により本丸の内側(画面中央奥)へ約70メートル移転しました。

こちらが移転後の現在の姿です。「やはり石垣あっての天守閣…」という気がしますが、岩木山とのツーショットはこの機会だけの貴重な眺めです。ちなみに、元の場所へ戻されるのは2023(平成35)年の予定です。

…ということで、桜もなければ天守閣もない(笑)、我ながら情けない一枚(↑)ですが、弘前城の定番フォトスポットなので、「あえて」掲載しておきます(悔)。

城内にはソメイヨシノのほかにシダレザクラも多く、とくに枝ぶりが見事ないくつかには「銘」がついています。
これは本丸の石垣の上からお濠の水面に向かい長く枝を垂らしている姿から、棟方志功画伯が「御滝桜」と命名した名木です。
これも本丸にあるシダレザクラで、「弘前枝垂れ」という名前がついています。
本丸の広場では、毎朝、地元の方が大勢で岩木山に向かって「ラジオ体操」をされているとか。

本丸の更に先にある北の郭では、「八重紅枝垂れ」が淡紅紫色の花を枝いっぱいにつけています。
西濠に沿った「桜のトンネル」と呼ばれるところですが、こちらはまだまだ咲き始めといったところです。

四の丸からリクリエーション広場へ回ります。
このあたりは贔屓目に見てもまだ五分咲きといったところです。
東側の外濠沿いもようやく開花がすすんできました。
折角なので、夜桜にも挑戦しました。
市役所前の外濠です。

追手門から再び城内へ。

これ(↑)は1882(明治15)年に植栽されたもので、現存するソメイヨシノでは日本最古とのことです。

終日お天気にも恵まれたことから、今日一日でずいぶんと開花がすすんだ気がします。
こうしてライトアップされると、同じ桜でもひときわ妖艶に見えます。



管理人謹吟

ちょうど満月が中天に懸かって、思いがけないアクセントになりました(雅)。



管理人謹吟

昼間と同じようなコースを周回したので、今日一日で城内をほぼ1.5周してしまいました(疲)。

翌日は、太宰治の故郷で有名な金木町(現、五所川原市)の桜を撮る予定でしたが、弘前より更に北方のため、まだ「咲き始め」のようなので、急遽、計画を変更して、県東の十和田市へ行ってみることにしました。

弘前から十和田市へは八甲田山地を横切って行くのが最短コース(右の地図の青色点線)で、除雪も済んで冬季通行止めは解除されているにもかかわらず、カーナビがどうしても嫌がるので、いったん青森市内へ出てから、八甲田山(1,584m)の東側を越える「青森歩兵第5連隊雪中行軍」のルート(笑)で向かうことになりました。
県道40号のルート(上の地図の橙色実線)がそれで、路面の雪はすっかり消えていましたが、「雪中行軍遭難碑」があるあたりでは、まだ道路の両側にシッカリ残雪が見られました。

十和田市の中心部、官庁街をほぼ東西に伸びる大通り約1.1kmの両側が、桜と松の見事な並木になっていて、この時季は桜のピンクと松の緑が鮮やかなコントラストを織りなしています。

観桜期間中は市役所5階の展望ロビーが開放されていて、ちょうど満開を迎えた官庁街の桜並木を俯瞰することができます。
十和田市の一帯は、かつては八甲田連山の東麓に広がる荒蕪地で、古くから馬(南部駒)の産地として栄えたところでしたが、明治に入って陸軍省軍馬局青森出張所(後に、軍馬補充部三本木支部)が開設され、ますます馬産が盛んになりました。
現在の官庁街の大通りは、かつての軍馬補充部三本木支部の正門から事務所までの道路だったところで、別名「駒街道」と呼ばれて、十和田市のシンボルロードとして親しまれています。
このように、十和田市と馬とは切っても切れない関係にあることから、駒街道の両側には馬をモチーフにした様々なオブジェやブロンズが置かれていて、さながら野外ギャラリーの趣があります。
また、毎年この時季(第13回の今年は4/23、24)には、女流騎士だけによる「桜流鏑馬(さくらやぶさめ)」という行事があって、「ふるさとイベント大賞」の最高賞=内閣総理大臣賞を受賞しています。
この日は本番に向けての試射が繰り返し行われていました。

 
今回は青森県を西から東へ周遊し、弘前と十和田市の桜を見物しました。弘前では少し満開には早かったものの、お天気に恵まれて十分楽しむことができましたが、同時に満開の絶景に対する思いもますます募り、ひそかに再訪を期したところです。

十和田市ではちょうど満開を迎えた桜を心ゆくまで満喫することができました。弘前や角館に較べるとやや知名度が劣るのが残念ですが、落ち着いた町並みと静かに咲き誇る爛漫の桜は、雑踏の観光地では決して味わえないしみじみとした情趣があり、何とも思い出に残る観桜となりました。