(2013.11.10)

 

 

前号では、大雪高原沼をご覧いただきましたが、今回はその「続編」として、大雪山の東縁を走る国道273号の沿道と、大雪山きっての景勝地で探勝の基地でもある層雲峡の紅葉をご覧いただきます。

国道273号は帯広とオホーツク海沿岸の紋別を結ぶ全長196.9kmの国道です。北海道の主要国道はそれぞれニックネームがついていますが、国道273号も帯広から士幌、糠平を経て三国峠を越え層雲峡へ向かう区間では「糠平国道」と呼ばれています。
もう一度、前号でお目にかけたジオラマをご覧下さい。糠平国道は大雪山の南東部にある鞍部を越えて、帯広方面へ下っていきますが、そこにあるのが三国峠です。「三国峠」という名前は各地で見かけますが、ここは石狩・十勝・北見の三国の境界で、国道は峠の直下を三国トンネル(全長1,152m)で抜けています。トンネルの標高は1,139mで、自動車の通行が可能な北海道の峠としては最も高いところにあります。ちなみに、全国の国道で最も標高が高い地点は、志賀草津道路(国道292号)の渋峠で2,172mです。

三国峠の南側(帯広側)は急傾斜になっているため、国道は大きなヘアピンカーブと谷間を跨ぐ長大橋で下っていきますが、そのなかでも最大のものが「松見大橋」です。
1990(平成2)年に完成したトラス橋で、全長が330mで地上高が30mあるため、さながら樹海の中を天翔るような景観です。

これらの写真を撮っているのは峠寄りの緑深橋からで、眼前にひろがる大樹海をバックに、ちょっと日本離れした胸の空くようなパノラマを欲しいままにできます。

この(↑)写真は松見大橋から緑深橋を見上げたところで、ヘアピンカーブを挟んで90mの高低差があります。

見れば見るほど、よくこんな所に道路を通したものと感心しますが、羊腸の細路というべきかつての旧道も残っていて、よくこんな「酷道」を往来していたものと再度感心します。

松見大橋などの完成により路線が改良されて、三国峠の通年通行が可能になったのが1994(平成6)年といいますから、いかに北海道の自然環境が険しくて、道路事情が厳しいかがよく分かります。

三国トンネルを抜けた北側(層雲峡側)は、石狩川の源流部にあたる沢に沿って、大雪湖(ダム湖)へ向けて緩やかに下っていきます。

このあたりは、沿道のダケカンバや周囲の山々が見事に色づいて、別名「紅葉回廊」と呼ばれています。
この区間の走行ビデオ(3分弱)です。「助手」が車内から手持ち撮影した映像のため、画面が不安定なので予めご容赦のうえご覧下さい。


層雲峡は大雪山の溶岩台地を石狩川が浸食して形成された峡谷で、約24kmの断崖絶壁が続く景勝地です。

層雲峡といえば流星の滝と銀河の滝が有名で、N's TOWNでも何度もご覧いただきましたが、いままで紅葉の見頃とお天気に恵まれたことがなかったので、あえて再掲させていただきました。

層雲峡の売店(↑の写真)の脇から小径を20分ほど登ると、流星の滝と銀河の滝を一望にできる展望台があります。その名も「双瀑台」といって、朝日に映える巌峰を紅葉が彩り、その間を滝が流れ落ちる様子を正面に見ることができます。

向かって左が銀河の滝(120m)、右が流星の滝(90m)、中央の巌峰が不動岩、流星の滝の向こう側に小さく頭を覗かせているのが黒岳(1,984m)の頂上です。



以上で延べ4日間にわたった大雪山の撮影行は終了しましたが、北海道のような遠方は、種々の事前手配が要るため、勇んで出かけていっても、見頃とお天気に恵まれるという保証がなく、管理人も「空振り」に終わったことが少なくありません。
今回も前半は雨に降り籠められて、実質、後半2日間のみの「稼動」になりましたが、またとない幸運に恵まれ、絶景に巡り合うことができ、「一期一会」とも言うべき思い出に残る撮影行になりました。


最後に美瑛に立ち寄りました。
美瑛は旭川空港から近い(約30分)ので、ちょっと時間が残ったようなときに立ち寄りますが、今回はちょうど夕陽が沈むところへ上手く行きあわせて、思いがけない写真を撮ることがでたので、今回の主題とは少しはずれますが、掲出させていただきました。
この種のカットは狙って撮れるものではなく、まさに「写真の神様降臨!」といった感じでした(笑)。


「まだ前号(大雪高原沼)を見てないよ」という方はこちらからどうぞ→