(2012.10.21)
明治の文筆家、大町桂月は終生旅を友とし、その紀行文においても名声を博しました。とくに、東北から北海道にかけては多くの足跡を残し、その魅力を広く世に伝え残しました。 大町桂月は、北海道の大雪山について、「富士山に登って、山岳の高さを語れ。大雪山に登って、山岳の大(おおい)さを語れ。」といっています。 今回はその大雪山に日本で一番早い紅葉を求めて行ってきましたのでご覧いただきます。 |
ここからは、少し「寄り道」です。 旭岳ロープウェイを下りて、忠別川の源流部にある羽衣の滝へ回りました。 ここは、「大台ヶ原」(2012-9-16号)でもご紹介した、落差ランキング第2位(270m)の滝で、是非いちど見てみたいと思っていました。 実際には、ご覧の通り、滝口が岩陰に隠れて見えないため、その全貌を目の当たりにすることができず、いまひとつスケール感に欠けるのが残念です。 |
本編に戻って、ここからは銀泉台周辺の紅葉です。先ほどの旭岳/姿見平の位置を時計の9時とすれば、銀泉台は3時の位置にあたります。ちなみに、有名な層雲峡は12時の位置になります。 | ||
銀泉台は大雪湖畔から林道を約15キロ上った行き止まりにあります。この「林道」はれっきとした道道(1162号)で、かつては大雪山を横断して旭川に至る道道212号、別名「大雪山観光道路」、として計画された路線ですが、環境保護の観点から未開通部分の建設が中止され、途中の銀泉台までの区間が、林道同然の離合もままならないダート道として残されました。 | ||
もう一度、冒頭の地図(↑)をご覧ください。道道1160号と道道1162号がどちらも行き止まりになっていますが、これが(元)大雪観光道路の未成区間です。そもそも、国立公園のど真ん中に道路を通そうという計画自体、現在の常識から考えれば腰を抜かすような話ですが、自然破壊とか環境保護といった意識が希薄だった「夜明け前」の時代に、これを中止させた見識と行動力には脱帽します。 同様の事例は尾瀬(右の地図ご参照)にもあって、群馬県の片品村大清水から、尾瀬を突っ切って(!)、福島県の檜枝岐村沼山峠へ至る区間が国道401号として指定されていますが、1971(昭和46)年に工事が中止された結果、大清水と沼山峠でそれぞれ行き止まりになって、今ではどちらも尾瀬(沼)への入山拠点として機能しています。 |
本編へ戻ります。今では銀泉台で行き止まりの道道1162号ですが、それでも紅葉シーズンにはマイカーが押しかけるため、自然保護の観点から大雪湖畔より先は乗り入れが禁止され、シャトルバスを利用することになります。自然保護はともかく、あのような険路からマイカーを閉め出すことは、渋滞や事故を防ぐことでお互いのためにもなるし、シャトルバスの料金も良心的(往復800円)です。 |
銀泉台から直ぐに赤岳への登山道になります。先にご覧いただいた旭岳/姿見平のように、散策路を周回するのではなく、いきなり登山道を上がるので、それなりの足元を拵える必要があります。 |