(2009.11.1)


   

 

   

日光というと東照宮、いろは坂、華厳の滝、中禅寺湖などを思い浮かべますが、さらにその奥、竜頭の滝から戦場ヶ原/小田代ヶ原、湯滝、湯の湖へと遡る湯川の流域や、これらの地域を取り囲む日光連山から金精峠を経て群馬県境に至る山懐にも、味わい深い景勝地が多数あって、「奥日光」と総称されています。

N's TOWNでも今まで何度となくこの奥日光を訪れてご笑覧に供してきましたが、今回は奥日光を取り巻く山間部に分け入って(というほど大袈裟でもありませんが…)、紅葉シーズン直前の様子を取材してきたのでご覧いただきます。


明智平ロープウェイ
ひとくちに日光といってもその標高差は大きく、東照宮などのある日光市街地は約600メートルに対して、中禅寺湖畔は約1,300メートルあり、いろは坂を上り始めると夏場でも気温の変化を肌で感じます。さらに奥へ進むと、戦場ヶ原で約1,400メートル、湯元温泉では約1,500メートルあるため、冬季は夏用タイヤでは難渋することもあります。

余談になりますが、日光市は2006(平成18)年の町村合併により市域が約5倍に拡がり、上の地図のほとんど全部が日光市になりました。今や栃木県の約1/4を占める大帝国(笑)で、全国でも(高山市・浜松市に次いで)第3位の広域自治体です。

先ずはご存じ竜頭の滝です。戦場ヶ原を流れてきた湯川が中禅寺湖へ落ち込むところで、日光で紅葉が最も早く見られることで知られています。滝というのはどこもそうですが、カメラを構えられる場所が限られていて、竜頭の滝も正面の茶店から撮影するしかないため、どなたが撮ってもこの写真になります(笑)。

しかもその場所がとても狭くて、5〜6人も並べば一杯になるのに、いつまでもベストポジションを占拠して譲ろうとしない初老のカメラマン(複数)が周囲の顰蹙を買っていました。私も「初老のカメラマン」なので偉そうなことは言えませんが、最近はいたるところで若い人より年配者のマナーの悪さが目に余りとても残念です。

ここは中禅寺湖南岸から中禅寺湖スカイラインを上り詰めたところにある半月峠第2駐車場(1,625メートル)というところで、足尾方面(足尾も今では日光市です)の眺望がとくに見事で、手前には斑模様に紅葉した尾根が伸びていますが、その奥にはかつての銅の精錬に伴う有毒ガスなどにより今なお草木の絶えた山肌が見られます。

ここは中禅寺湖の南西に位置する半月山(1,753メートル)の頂上から少し下ったところにある展望台(1,720メートル)で、先ほどの半月峠第2駐車場から急な山道を20分ほど登ったところにあり、正面には男体山、眼下には中禅寺湖、その先には戦場ヶ原から日光連山に続く大パノラマが拡がります。

足元に細長く突き出た半島は「八丁出島」といって、紅葉がピークの頃には半島全体が赤黄緑のモザイク模様で彩られます。湖水にポツンと浮かぶ小島(下の写真)は「上野島(こうずけじま)」といって、日光の開祖・勝道上人の分骨が祀られています。

ここは先ほどの半月峠第2駐車場の少し手前にある第1駐車場から見た中禅寺湖です。ここにはNHKのお天気カメラが設置されているので、ここからの映像をニュースや天気予報などでご覧になった方もおられると思います。

ここは戦場ヶ原の北東に位置する光徳(こうとく)という地区です。カラマツ林に囲まれたのどかな牧場があって、人なつっこい牧牛がのんびりと草を食べています。

光徳牧場から山王峠を越えて鬼怒川源流部の川俣温泉へ抜ける山王林道(全長約21キロ)というのがあります。カラマツの紅葉が見事な区間で、かつてN's TOWNでもご紹介したことがあり(「紅葉紀行2001(奥日光編)」 2001.11.4号)、今回も足を伸ばしてみました。

ここは山王峠(1,740メートル)から荒れた急坂を20分ほど下ったところにある涸沼というところで、その名の通り水が干上がったようなすり鉢状の草原が谷間に拡がっている神秘的な景観ですが、山王峠から約90メートルの高低差を往復する必要があり、ふだん運動不足の体にはとても堪えます。

涸沼は湯元温泉から光徳牧場へ至るハイキングコース(8キロ/4時間)の途中にあたり、奥日光の中でも最奥部になるため、いわゆる「日光」とはまったく別趣の魅力があります。