(2024.5.5)

   

 

例年に較べて1週間から10日ほど開花が遅かった今年の桜ですが、今号をご覧いただく頃にはさすがに葉になっていることと思います。

今回はそんななか、遅咲きの桜を追って、山梨県の富士五湖周辺を周遊してきたので、その様子をご覧いただくことにします。

まずは今回のメインテーマである忍野(おしの)村の「新名庄川(しんなしょうがわ)」へ向かいました…
忍野村といえば忍野八海が有名ですが、新名庄川はその脇を流れる一級河川で富士山の湧水を源流とし桂川に注いでいます。
川の両岸に約600本のソメイヨシノが植えられていますが、このあたりは比較的標高が高いため、山梨県でも最も遅咲きの桜として有名で、今年は取材日(4/19)の前後がちょうど見頃でした。
なかでも、忍草(しぼくさ)浅間神社の裏に架かるお宮橋と、200mほど下流にある大門(おおもん)橋の間が白眉ともいうべき区間で、満開の桜のトンネル、新緑の土手を彩るスイセン、清流の先には可愛い木橋、ふり仰げば残雪の富士山という「全部入り」の贅沢な景観です。CGではありません(笑)。
“This is JAPAN”ともいうべき絶景ですから海外からの観光客も多く、日本人よりもアジア各国からの旅行者のほうが多いような状況でしたが、皆さん和気藹々とした雰囲気でよかったです。
桜並木と清流だけであれば絵になる所は他にもたくさんありますが、ここは富士山が見えないことには写真として成立しないので(笑)、開花時期と晴天のマッチングが必須で、、
さらには管理人自身の都合などもあったりして、なかなかタイミングが合わずにきましたが、ようやく念願叶って3年ぶりにカメラに収めることができました。
富士山とその周辺のお天気は本当に気まぐれで、何度も空振りをしては臍を噛んでいるため、今回のようにスッキリと晴れてくれると快哉を叫びたくなります(笑)。
新名庄川を切り上げて「河口湖畔」へ回りました。
こちらでは、桜まつりが一週間延長して4/21まで開催されていましたが、さすがにほとんど散っていました。
このように近接しているエリアであっても、標高や地形によって微妙に開花時期が前後するため、自在に出動できる地元の人はともかく、私たちのようなビジターは「あちらを立てればこちらは立たず」と観念するほかありません。
午前中はスッキリ晴れていましたが、やはりお昼になるにつれて雲が出てきました。独立峰の富士山にはこのように山頂に「だけ」雲が懸かることが多く、こういう雲はたいてい夕方まで離れることがありません。
一日中晴れるに越したことはありませんが、贅沢ばかり言っておれないので、「晴れるべきところ(今回でいえば新名庄川)で晴れれば成功」と思うことにしています。


そのあと、西湖の畔にある「いやしの里根場(ねんば)」という所へ立ち寄りました。
ここは古民家(←国登録有形文化財の建物もあり)をテーマにした野外博物館で、それぞれの建物では民芸品の展示、販売やワークショップの開催などが行われています。
園内のしだれ桜やミツバツツジが茅葺き屋根や富士山をバックに見頃を迎えて見事でした。
最後に「精進湖」へ向かいました。
相変わらず富士山頂に懸かった雲は動きませんが、湖畔の桜が意外に残っていたのと、ミツバツツジが見頃を迎えていたのが嬉しい誤算でした。
新名庄川や河口湖畔と較べてここまで足を伸ばす人は少ないため、ゆっくり寛ぎながら撮影できたのもよかったです。
今回はこの時期としては好天に恵まれて、名残の桜と富士山を堪能した至福の一日でした。

最後までご覧いただき有り難うございました。