(2024.3.24)

   

 

埼玉県川口市の東部に位置する安行(あんぎょう)地区は古くから植木の産地として有名ですが、今回は当地由来の「安行桜」という早咲きのサクラを取材してきたので、その様子をご覧いただきます。

安行地区は気候、土壌、水利などに恵まれた地で、古くから農業や園芸が盛んでしたが、江戸時代から大都市近郊という立地を活かして庭木や植木の生産農家が集積し、それにつれて栽培技術の蓄積、品種の改良、流通の整備などが進み、「植木の安行」としてその名を高めてきました。

資料によれば、安行桜は安行出身の造園家が昭和20年代初頭に改良し普及されたとのことで、花弁が複数重なっている八重咲きで、大きな樹冠全体が濃いピンク色の優美な花で覆われる様子は、ソメイヨシノとは別趣の見応えがあります。
先ずは埼玉県坂戸市にある北浅羽桜堤公園へ向かいました。
坂戸市内を流れる越辺川沿いに1,200mにわたって約200本の安行桜が植樹されています。ちなみに、越辺川は「おっぺがわ」という変わった読み方をします。
ソメイヨシノより一週間から10日ほど早く開花し、一足早い春の訪れを感じられることから、この日も多くの来訪者で臨時駐車場はほぼ満車でした。
ピンクの安行桜と湾曲した並木道がとても優美で、スケッチをする人にもお薦めの桜堤です。
八重咲きならではのボリューム感を楽しむことができます。
桜の並木道は2列になっていて桜のトンネルを体感することができます。
最近はどこへ行っても愛犬の撮影会が盛んで、皆さん本格的な機材や凝った小道具を携えてとても熱心!また、今日は時節柄、新一年生の記念撮影もたくさん見かけました。


2000(平成12)年に植樹された「育ち盛り」だけに、見事な花付きに木々の勢いを感じます。
次に安行桜の発祥の地である川口市安行地区へ回りました。
「密蔵院」という真言宗の古刹を訪ねました。
数十本の安行桜が境内を彩り大勢の参拝客が満開の花を愛でていました。
「花手水」です。ついついカメラを向けてしまいます(笑)。


真言宗のお寺なのでお大師様がおられます。


さっそくネット情報を繰ってみました(笑)。山歌集に収められている和歌で、「自分の死後に弔ってくれる人があるならば桜の花を供華にしてほしい」という意味だそうです。世俗を捨てた西行でも春の桜は心から離れなかったということでしょうか。


参道は近くの小学校の通学路にもなっていて、桜のトンネルに児童の元気な声が響いていました。
最後までご覧いただき有り難うございました。