(2023.10.29)

   

 

北海道のうち道東、道北や利尻礼文といった縁辺部は今までに何度か足を運び、N's TOWNでもお目にかけましたが、道南についてはアクセスが良く、体力的にも負担が少ないことから、ずっと後回しにしてきたところです。

こうした「いずれそのうち…」と放置してきた落ち穂拾い(笑)の第一弾として、函館>大沼公園>洞爺登別>支笏湖を周遊してきたのでその様子をご覧いただきます。

北海道の秋は短く、紅葉らしきものも散見しましたが、峠道はもとより平地でも降雪の予報が聴かれるなど、早くも冬の跫音を感じながらの3日間でした。

今回の取材先はいずれも皆さまよくご存知のところばかりなので、観光案内的なコメントは割愛して、お出かけの参考になるようなTipsを中心に簡潔にお伝えしたいと思っています。
今回は成田空港からLCCで渡道しました。
運賃がJAL/ANAの1/4〜1/5というだけあって、平日の早朝便にもかかわらず満席でしたが、若い人やアジア方面からの旅行者が多く、さすがに管理人のような高齢者はあまり見かけませんでした(汗)。
新千歳空港から先ず函館へ向かいましたが、北海道は広いので本州の感覚で旅程を組んでいると、思いのほか移動時間に潰されてしまいます。ちなみに、函館まで道央道を経由してたっぷり4時間はかかります。

函館ではまずベイエリアの赤レンガ倉庫街を散策しました。

内部は横浜みなとみらいの赤レンガ倉庫と同様、飲食、物販、催事などのスペースになっていますが、先を急ぐ(後述)ので外観だけで失礼しました。

つづいて函館山の麓に広がる元町地区へ回りました。

これは旧安田銀行(後の富士銀行)函館支店の建物で現在はホテルとして再利用されています。昔の銀行の店舗はこのようにとても重厚な造りで、小樽でもたくさんの建物が保存され再利用されているのを見ましたが、この建物も市の「景観形成指定建築物」に登録されています。ちなみに、みずほ銀行(富士銀行の後身)の函館支店は今年(2023年)3月に閉店(札幌支店内へ移転)し、道南からメガバンクの店舗がなくなりました。


ここは「八幡坂」(はちまんざか)という坂道です。眼下にベイエリアから函館港を見下ろす景勝地で、CMのロケなどにも多用されている人気の場所です。
画面中央奥に係留されている船は旧青函連絡船の「摩周丸」(5,363総トン)で記念館として公開されています。

元町地区にはキリスト教の教会や洋館などの歴史的建造物が建ち並び、港町ならではの異国情緒を楽しむことができます。

陽も落ちてきたのでお目当ての函館山山頂へ上がります。「函館山からの夜景」は今回の主題のひとつで、ベイエリアや元町地区を駆け足で回ったのも偏に日没時刻を意識してのことです(笑)。
カメラマン同士でよく交わす軽口に「飛行機もホテルも予約したがお天気の予約だけできていない」というのがあります。日帰りであれば当日朝のお天気をみてから決められますが、遠征の場合そうはいかないのを嘆いたものです。

今日も朝から不安定な空模様で通り雨が何度も去来し、「今夜はダメかな…」と半ば諦めつつ函館までやって来ましたが、夕方になるにつれて雲が切れて青空が顔を覗かせ、夕景になる頃には絶好のコンディションで撮影することができました。

現地は聞きしに勝る大混雑のため、日没の1時間前(遅くとも30分前)には到着しておかないと、人の頭越しに撮る羽目になります。
上の写真(↑↑)は日没から小一時間後の様子ですが、ピーク時には立錐の余地がないほど人人人でした。


山頂から下りてくる頃には夕方に立ち寄った元町の教会群が綺麗にライトアップされていて食指が動きましたが、早朝からの強行軍で管理人自身が「電池切れ」のため(笑)、後ろ髪を引かれながらホテルへと撤収しました。
(上の画面にカーソルを乗せると説明が表示されます)


2日目はまず五稜郭へ立ち寄りました。
ご存知、戊辰戦争最後の決戦地、幕府軍終焉の地ですが、今回は「五稜郭タワー」から見下ろすだけで失礼しました。
土方歳三はいまも根強い人気があります。
ともに戦った榎本武揚がその後、新政府の高官として活躍したのとは対照的な生涯でした。
西郷といい土方といい、日本人は悲劇の主人公が好きですね。






そのあと、大沼公園へ回りました。
大沼公園は駒ヶ岳の火山活動によってできた湖沼群で、裏磐梯のそれらと似たような成因ですが、こちらは広闊な場所に点在することから、なんとなく平板で散漫な景色のイメージが強く、あまり期待していなかったのですが、
実際に訪れてみると、大小の島々が複雑な入江で絡み合いながら絶妙に位置していて、奥行きのあるなかなか変化に富んだ景観で、半日くらいかけてじっくり撮りたいところでした。
駒ヶ岳は独立峰のため(富士山と同様)山頂に雲が懸かることが多いようですが、この日はスッキリと晴れて特徴的な二つの峰と、なだらかな裾野を引く優美な姿を満喫することができました。
ちなみに、「駒ヶ岳」という名前の山は国土地理院の地形図記載ベースだけでも18座あり、そのほかのものもあわせると全国で20〜24座あるといわれていて、そのほとんどが東日本というのも興味深いです。
一般の観光船のほかにも、飲食を楽しみながらのんびり回遊するクルーズ船も運航されて、皆さんとても楽しそうです。
洞爺湖は北岸の高台にある「サイロ展望台」から夕方の湖水を俯瞰するだけになりました。ちなみに、大沼公園からここまで道央道を経由して2時間かかります。
展望台の脇に特設ヘリポートがあって遊覧飛行を体験することができます。対岸まで往復する「お試しコース」(所要3分)が一人4,800円(税込)で、なかなかの人気でした。
3日目は予報通り朝から雨になりました。全日程を通して晴れるに越したことはありませんが、贅沢ばかり言っておれないので、「晴れるべきところ(今回でいえば函館山)で晴れれば成功」と思うことにしています。
登別温泉の地獄谷と大湯沼を傘を差しながら回りました。ありきたりの写真ですが3枚だけ貼っておきます。


もうじき終わるのであと少しご辛抱を…(汗)
最後に、支笏湖へ立ち寄りました。
支笏湖は札幌市街からも新千歳空港からも車で一時間前後という好立地ながら(あるいはそれゆえに?)ホテルや飲食店が少なく、今なお北海道らしい自然の姿を色濃く残す素朴な観光地といった印象を受けました。
雨は上がりましたが風が強く、湖面には白波も立って観光船は欠航していました。
これは「山線鉄橋」と呼ばれている遺構で、支笏湖から流れ出る千歳川に架かっています。
現地の説明板によれば、この鉄橋は1899(明治32)年の英国製で、当初、北海道官設鉄道で使用されたのち、王子製紙に払い下げられ1924(大正13)年にここに架設されたとありますから、来年でちょうど100周年ということになります。
「山線」というのは王子製紙苫小牧工場から自社発電所の建設資材や支笏湖周辺の森林資源を運搬するために建設された「王子軽便鉄道」のことです。現在、廃線跡の一部は「道道872号支笏湖公園自転車道線」というサイクルロードになっています。
近くには「山線湖畔驛」という名の史料館もあって、王子軽便鉄道と支笏湖の歴史を知ることができます。
支笏湖とその周辺には隠れた見どころが多く、もっとじっくり見学したいところでしたが、帰りの飛行機の時刻もあり一時間余で切り上げました。


…ということで、相も変わらず詰め込みすぎの駆け足旅行でしたが、最後まで長々ご覧いただき有り難うございました。