(2023.1.15)

     

 

(遅まきながら)新年明けましておめでとうございます。今年もお立ち寄りのうえご笑覧をお願いします。

新年最初の更新は、千葉県船橋市にある陸上自衛隊習志野演習場で開催された第一空挺団の「降下訓練始め」を観覧してきたので、その様子をご覧いただきます。
「第一空挺団」というのは陸上自衛隊に属する落下傘部隊ですが、陸自で唯一の部隊なので第二空挺団とか第三空挺団とかいうのはありません。

訓練会場の「習志野演習場」は新京成習志野駅から1.6km(徒歩約20分)、習志野駐屯地から500mほどのところにあり、今やすっかり住宅地に包囲されたわずか2平方キロほどの窮屈な演習場です。
戦前までは一面の原野が拡がる広大な演習地だったようですが、現在はさぞかし市街地ならではの気苦労が絶えない運用を強いられていることと思われます。

ちなみに、「習志野」演習場といいながら、ほとんどが船橋市(一部、八千代市)に所在し、習志野市に属する部分はありません。

降下訓練始めは毎年年頭にあたり一年間の安全を祈願する行事として行われていますが、単なる安全祈願祭ではなく、現在では離島部への緊急展開と奪還作戦を想定したシナリオに沿って、航空機や地上火器との連携も織り交ぜた大規模な訓練で、約1,000人の自衛隊員と米軍からの70人に加えて、今回は英軍と豪軍からも30人が初めて参加し、4ヵ国による合同演習として実施されました。
コロナ禍のため3年ぶりの一般公開となった今年は早朝から約1万人の来場者で賑わいました。先ず演習場の入口付近で検温と手荷物検査を受けてから観覧場所へ向かうので、最寄り駅から観覧場所までは4km弱、小一時間の行軍(笑)になります。

軍隊には「指揮官先頭」という言葉があります。辞書によれば「戦陣において指揮官が先頭に立って部隊を率いること」とありますが、降下訓練始めも「指揮官等降下展示」で幕を開けます。
2020(令和2)年の降下訓練始めでは、当時の河野太郎防衛大臣が高さ11mの訓練塔から迷彩服姿でジャンプされたのをニュースでご覧になった記憶があるかと思います。
今回も空挺団長(陸将補)を先頭に、各部隊指揮官、米英豪軍の指揮官らが次々に降下します。
エラくなっても若い人と同じ実技能力をキープしないといけないのは大変です(汗)。


このちょっと変わった形の落下傘は米軍のものです。


これは「自由降下訓練展示」といって、パラグライダーのような落下傘を自在に操りながら編隊を組んで優雅に舞い降りてきます。
今日は無風快晴という絶好のコンディションで、降下する隊員の皆さんにも、観覧する私たちにも、またとない訓練日和でした。
浜田防衛大臣ご一行が陸自の輸送ヘリ(CH-47J)で来場されました。


ここからが訓練の始まりです。自衛隊の用語で「状況開始!」といいますが、聞いたことない日本語ですね(笑)。


先ず海自(下総)の哨戒機(P-3C)が空挺降下地点の敵情を偵察します。


次に先遣部隊が自由降下で進入します。

続いて陸自の攻撃ヘリ(AH-1S)による事前制圧が行われ、

最後に陸自(木更津)の偵察機(LR-2)が降下地点をチェックして空挺団本隊が進入します。


先ずは米軍(横田)の輸送機(C-130J)×3機からの降下、
続いて空自(小牧)の輸送機(C-130H)からの降下、
会場のスピーカ−からは輸送機とのリアルな交信を聞くことができます。


 コースよし、コースよし
用意、用意、用意
降下!、降下!、降下!
同じく空自(美保)の輸送機(C-2)からの降下と続きます。
1機から15〜20名が降下するようなので、5機から合計75〜100名が降下したことになります。


空挺降下に続いてヘリ火力による攻撃と上空制圧、


狙撃班の投入と続きます。
戦闘部隊がヘリからロープで降下します。
米軍(厚木)のMH-60ブラックホークも登場。
輸送ヘリによる部隊や車両、重火器の投入、展開が本格化します。
先遣偵察部隊の回収。


 
最後に戦車や装甲車といった機甲部隊が上陸して敵を殲滅するというシナリオです。 
最後に、今回来援した米、英、豪軍が3機から空挺降下してフィナーレを飾りました。
以上で約2時間にわたる訓練プログラムは全て終了しました。


各基地へ帰投する航空機が編隊を組んで航過するのを見送って、私たちも「状況終了!」です(笑)。


最後までご覧いただき有り難うございました。m(_ _)m