(2022.10.23)

   

 

今年の紅葉は全国的に平年よりやや遅いようですが、関東地方でもようやく北部の山々から色づき情報が届くようになり錦秋の幕開けとなりました。

そこで今回は栃木県と福島県の県境に位置する那須岳を訪れ、見頃を迎えている紅葉を取材してきたのでその様子をご覧いただきます。

那須岳は日本百名山に列せられている火山で、著者の深田久弥が「那須岳とは那須五岳の中枢を成す茶臼岳、朝日岳および三本槍岳のこと」と記しているとおり、那須岳というピークはありません。

主峰の茶臼岳(1,915m)は関東地方を代表する活火山で、今も斜面から蒸気や火山ガスを盛んに噴出していて、「那須の盟主」に相応しい威容でひときわ辺りを払っています。

今回はその茶臼岳の西麓に拡がる「姥ヶ平」というところと、その奥にひっそり佇む「ひょうたん池」の水辺から、紅に染まる絶景を堪能してきました。
紅葉の時期に那須岳を訪れるうえで最大の「難関」は駐車場不足とそれに伴う沿道の渋滞です。この日は、前夜からの雨が朝方まで降り続いたのが幸いして、来訪者の出足が鈍かったので酷い目には遭わずに済みましたが、それでもロープウェイ山麓駅前の駐車場は平日にもかかわらず8:30でほぼ満車でした。
麓から上ってくる道路(県道17号)はロープウェイ山麓駅から1kmほど先で行き止まりになっているため、ハイシーズンの週末などには身動きがとれなくなり、ずっと麓の方まで渋滞が伸びるといいます。(たとえ有料となっても)パーク&バスライドによるマイカー規制の実施などアクセスの改善を期待したいところです。


7合目の山麓駅(1,390m)から9合目の山頂駅(1,684m)まで高低差294mを111人乗りの大型搬器が約4分で結んでいます。


茶臼岳を目指す場合は、ここから小一時間の登りで頂上に至ります。
姥ヶ平を目指す場合は、山頂を右手に見ながら、南側斜面を巻きつつ牛ヶ首(1,735m)というところへ向かいます。
この区間はさほど高低差がなく、登山道もよく整備されているのでハイキング感覚で歩くことができます。


管理人のような「高齢者」の方もたくさん歩いておられて元気をもらいました。


ガイドブックによれば、山頂駅から牛ヶ首まで1km、30分とありますが、管理人は写真を撮ったり休憩したりしながら小一時間かけて歩きました。
牛ヶ首というのは茶臼岳と日の出平の鞍部のようになっていて、登山道が各方向へ分岐する要衝であり、絶好の休憩ポイントでもあります。
西方向に目を向けると紅葉の海が拡がり、その中にこれから向かう姥ヶ平(1,585m)を眼下に望むことができます。
朝方からの雨が上がって虹がかかっていました。


牛ヶ首から姥ヶ平までは約600mですが高低差が150mほどあり、なかなかの勾配でガレ場が続くため、足拵えはシッカリ準備する必要があります。
また、(登りよりも)下りの方が体のバランスをとるのに体力(とくに膝)と神経を使う分だけ疲れるような気がします。
紅葉の海の中へどんどん分け入っていくような気分です。
40分ほどかけて姥ヶ平まで下りてきました。画面右端の稜線部が牛ヶ首です。


見頃の紅葉を裾にまとった茶臼岳を正面に眺められる絶景ポイントで、急坂を苦労して下ってきた疲れも吹き飛びます。
ナナカマドが色づいていました。


姥ヶ平からひょうたん池へ向かいます。
山奥に隠れる秘密の湖(Hidden Lake)といった趣で、周囲の紅葉が水面に映る茶臼岳と相俟って、さながら一幅の錦秋絵巻を眺めるようでした。
姥ヶ平を切り上げて牛ヶ首へ向けての登りにかかります。
名残尽きない姥ヶ平を何度も振り返りながら、45分ほどかけて牛ヶ首まで上ってきました。
ここをクリックすると大きなパノラマ写真が開くので是非ご覧下さい 矢印左 panorama 矢印右


この頃になるとお天気もすっかり回復し、紅葉が一段と鮮やかになった姥ヶ平を見納めて、山頂駅へ向けて帰途につきました。
山頂駅方面(茶臼岳南面)からは雄大な裾野を一望することができます。
深田久弥も「那須岳はその裾野によって生きている」と書いているとおり、その広闊な原野を眺めていると胸が空くような気がします。
無事山麓駅に到着し6時間弱のミニ山行を終了しました。
最後までご覧いただき有り難うございました。