(2021.12.5)

   

 

茨城県と福島県の県境に位置する八溝(やみぞ)山に源を発する久慈川は、県北を南流して日立市と東海村の境界から太平洋に注ぐ全長124kmの清流ですが、

今回はその上流部にある大子(だいご)町とその周辺で、古刹を彩る紅葉と名瀑と渓谷に懸かる大吊橋を巡り、「錦秋の奥久慈」と題して深まりゆく山の秋を取材してきたのでその様子をご覧いただきます。

大子町は福島県や栃木県と県境を接する山深いところですが、袋田の滝(後記)にも近く、JR水郡線の車両基地もあり、久慈川上流地域における中心的な町です。

最初に訪れた「永源寺」は曹洞宗の古刹で、資料によれば創建は室町時代の1446(文安3)年とあります。
JR「常陸大子駅」から徒歩10分ほどの高台にあり、大子町や周りの山々を一望することができます。

すぐ脇には檀家のお墓もあるので立ち入らないように気をつけながら静かに拝観する必要があります。


禅寺というと質朴一辺倒なイメージがありますが、こちらの境内にはいたるところに石仏やお地蔵様が祀られていて、なかには施主の人柄や職業や趣味などが窺われる意匠のものもあり見ていて飽きません。
なかでも可愛い童子の無垢な面立ちには皆さん惹き込まれるようで、手を合わせる人もたくさん見かけました。



永源寺から車で10分足らずのところにある「袋田の滝」へ回りました。

華厳の滝、那智の滝とともに日本三名瀑に数えられていますが、残念ながら滝の他にはこれといった観光資源がなく、水戸のついでに往復2時間かけて立ち寄るには効率が悪く、回遊性の点で華厳の滝や那智の滝に較べて些か後塵を拝しているような気がします。


滝は久慈川の支流の滝川上流に4段になって懸かっていて、第一観瀑台は3段目の正面にあるため、2段目までは仰ぎ見ることができますが、最上段の1段目は見ることができません。


第一観瀑台からエレベーターで44メートル上ったところにある第二観瀑台からは、最上段を含めた滝の全景を眺めることができます。
もう少し紅葉木があると写真的には有り難いのですが…(笑)。



袋田の滝を切り上げて「竜神大吊橋」へ回りました。

ここは久慈川から山ひとつ隔てた隣りの谷にあり、行政区域も常陸太田市になるので、今号のテーマの「奥久慈」からは外れますが、同じ県北の山間部ということでご容赦を…(笑)。

竜神大吊橋はダム湖の上空100mに懸かる歩行者専用の吊り橋です。

橋は全長446m、中央支間は375mあって、竣工時(1994年)は歩行者専用吊り橋としては日本最長でしたが、そのあと各地に建設された同種の吊り橋に首位を譲り、現在は「日本最大「級」の長さ」となっています。
観光吊り橋なので、橋を渡った先がどこかへ通じているわけではなく、そのまま引き返してくることになります。
裏山に橋を見下ろす展望台があるというので登ってみました。距離1km弱、高低差200m弱ですが、ふだん運動不足の身には結構な急登で、薄暗い杉林のなかの踏み分け道をゼイゼイいいながら(笑)40分ほど登り詰めると…

こういう景色を俯瞰することができます。


ここをクリックすると大きなパノラマ写真が開くのでご覧下さい 矢印左 panorama 矢印右


なかなかの絶景で苦労して登った甲斐がありました。