(2021.11.7)

   

 

昨秋は各地の紅葉が近年にない当り年だったのに対し、今年はいつまでも暖かい日が続いたせいか、どちらの紅葉情報を見てもピークすら定かでない状況で、このままシーズンが終わってしまいそうな所も見受けられます。

そうしたなか、日本アルプスの山々では初雪があったとのニュースを見て、急遽、穂高の新雪とカラマツの黄葉、梓川の清流をカメラに収めるべく晩秋の上高地へ行ってきたのでその様子をご覧いただくことにします。

N's TOWNでは今までに2回、上高地を訪れていますが、何れも雨に祟られて満足に撮影できませんでした。今回はスッキリとした秋晴れに恵まれて、深まりゆく山の秋を心ゆくまで満喫できました。
上高地は梓川の上流部、標高約1,500mの地に形成された長さ約10km、最大幅約1kmの細長い平坦地で、国の特別名勝、特別天然記念物に指定されています。


マイカー規制が通年実施されているため、麓の沢渡(さわんど)でシャトルバスに乗り換えますが、沢渡のバスターミナルもしばらく見ないうちに立派な施設に整備されていました。


沢渡から30分ほどで上高地バスターミナルへ到着します。
バスを降りた途端に穂高連峰が視界に飛び込んできて、いやがうえにもテンションが上がります。
梓川沿いの遊歩道を河童橋へ向かいます。

河童橋は上高地散策の拠点で、ホテル、レストラン、土産物店などが集中しています。


河童橋から眺める景色は上高地の代名詞ともいうべき偉観で、正面に穂高連峰、手前にカラマツの黄葉、眼下に梓川の清流を文字通り「一望」することができ、誰もがしばらく釘付けになってしまいます。

河童橋から梓川右岸の遊歩道を上流方向へ進みます。


眼前に迫る3,000m級の峰々に圧倒されます。
(↑上の画像にカーソルを合わせると山名が表示されます↑)


岳沢(だけさわ)湿原というところで、ここから岳沢を経て前穂高岳(3,090m)への登山道が通じています。

清流にはイワナが「普通に」群れています。


上高地はカラマツの黄葉が主体のため、こうした紅葉は滅多に見かけません。

河童橋から約3km、1時間強で明神に到着します。

穂高神社の奥宮が鎮座しています。
ちなみに、本宮は安曇野市穂高にあります。

神社の奥には梓川が堰き止められてできた明神池があります。

一帯は神社の神域でもあるため、森閑とした佇まいは河童橋とはひと味違った趣きがあります。

明神岳5峰(2,726m)です。

この日は好天で風もなかったため、荷揚げのヘリは終日大忙しでした。


明神はかつて林業が盛んだった頃の根拠地で、現在では穂高連峰への登山基地でもあります。

梓川左岸の遊歩道を河童橋へ戻ります。

遊歩道はカラマツの樹林を抜けていて、往路とは別趣の雰囲気を楽しむことができます。

河童橋の近くの小梨平というところには、穂高連峰を正面に眺める素敵なキャンプ場があります。

日帰りのお客さんがいなくなって静かになった夕暮れの河童橋、こういうひとときもいいものです。

翌日は朝から河童橋で朝日に輝く穂高連峰を狙いましたが、雲とも霧ともつかないものがひっきりなしにやって来て、そうこうしているうちに明るくなってしまいました。

大正池へ回りました。

1915(大正4)年6月6日、焼岳が噴火して梓川が堰き止められ一夜にして出現したといわれています。

ちなみに、上高地で「池」というのは、梓川が堰き止められたり、淀んだりして水を湛えている場所のことをいうようです。

その焼岳(2,455m)です。よく見ると頂上からは白い噴煙らしきものも見えます。

田代湿原です。

田代池です。
今では砂礫が堆積していて、「池」というより「水たまり」といったところですが、清流が水草を洗いながらほとばしる様子はいつまで見ていても飽きません。


こんなところに西穂高岳(2,909m)への登山口がありました。


いたるところで野猿を見かけました。

日照の関係かもしれませんが、梓川の左岸にはひときわ見事なカラマツの樹林を多く見かけました。

カラマツの黄葉が秋晴れの青空に映えて、さながら「晩秋の輝き」といった趣です。

最後にもう一度、河童橋からの絶景を見納めて、名残尽きない上高地を後にしました。

緊急事態宣言が解除され、上高地も賑わいを取り戻しつつあるようでしたが、かつての大混雑といった様子はなく、(当然ながら)海外からの来訪者も見当たらず、深まりゆく山の秋を静かに堪能できた2日間でした。


最後まで長々ご覧いただきありがとうございました。