(2018.5.13)

 

  

5月も半ばというのに今さら桜でもなかろうと我ながら気恥ずかしい限りですが、ご容赦ご笑覧を先ずもってお願いします。

蔵王連峰に源を発する白石(しろいし)川が、宮城県の南部を東流して阿武隈川に合流する手前、柴田郡柴田町から大河原町にかけての河岸約8kmにわたって約1,200本の桜並木が続いていて、「白石川堤一目千本桜」として日本さくら名所100選にも選ばれています。

シーズンには柴田町と大河原町でそれぞれ桜まつりが開催されますが、両会場をまたぐ格好で桜並木が続いているので、大河原町からスタートして柴田町まで散策し、JR船岡駅から大河原駅まで電車で戻るか、逆に柴田町からスタートして大河原駅から電車で戻るのが一般のようです。

大河原町の方が車を止めやすい(駐車場が広くて国道4号からのアクセスも良い←管理人の私見ですが)ため、今回は大河原町から柴田町へ歩いてみました。

何しろ東北地方でも有数の桜の名所で、毎年約25万人の来訪者があるため、車で行かれる場合は9時までに現地へ到着されることを強くお奨めします。
大河原町から柴田町へ向かって白石川の右岸を歩きます。
この日は満開から2〜3日経った頃で、満開を10分咲きとすれば11〜12分咲きといったところでした。
この日は小さな寒冷前線が通過したので、あいにく午前中は雲に覆われてしまいました。

現地の碑文によれば、当地出身の篤志家の寄贈により1923(大正12)年から植樹が始まったとあり、約1,200本の桜並木の1/3は樹齢90年を超える老木だそうです。

一般にソメイヨシノは成長が早いため、巨樹化した樹冠が密生して樹勢が衰え、その結果病気や枯死に陥りやすく、「寿命60年」という説もあると聞いていただけに、老木が元気に枝を張っているのを見て驚きました。

いろいろ調べてみると、寿命60年というのは何も手をかけないで放置した場合のことで、適切な剪定と十分な管理が行われている場合はその限りにあらず、各地に樹齢100年を超す名木が存在しています。

それにしても、当地のようにたくさんの老大樹が今なお矍鑠として花を咲かせているのは圧巻というほかなく、よほど行き届いた管理と丹精込めた手入れの賜物と感心しました。




桜まつりの期間中は、大河原町の桜まつり会場からお花見の屋形船が運航されています。

ここは「韮神堰」(にらがみぜき)という絶景ポイントの一つです。

白石川の水を周辺の田へ流すための灌漑施設で、「残雪」の蔵王連峰と、白石川の「清流」と、堤防の「桜並木」の東北ならではの3ショットをカメラに収めることができる人気のスポットです。



このあたりから柴田町の桜まつり会場になります。
お天気も次第に回復して日差しが出てきました。

右手が白石川、左手の桜並木のすぐ脇がJR東北本線です。

この橋は2015(平成27)年に開通した「しばた千桜橋」という新しい歩道橋です。

この橋により白石川堤防からJR東北本線をまたいで船岡城址公園へ簡単に行けるようになりました。

 

橋の途中には展望デッキもあって新しい観桜スポットになっています。

船岡城は山本周五郎の小説「樅ノ木は残った」で有名になった原田宗輔(甲斐)の居城だったところで、現在は城址公園として整備され、白石川堤の桜並木や柴田町や大河原町の街並みから残雪の蔵王連峰まで一望することができます。
城址公園にも約1,300本の桜が咲き乱れて、たくさんの来訪者で賑わっています。
スロープカーという可愛いモノレールがあって、城址公園の麓と山頂を3〜4分で結んでいます。

山頂までは歩いても15分ほどですが、この時期は桜のトンネルをくぐるモノレールが人気で、乗り場は長蛇の列でした。

城山の頂上には柴田町出身の篤志家が私費で建立された船岡平和観音像(像高24m)が立っています。

画面中央を流れるのが白石川です。画面の左から右へ流れていて、この先で阿武隈川に合流し岩沼で仙台湾へ注いでいます。

桜並木に沿って貨物列車の走っているところが東北本線で、左方向が福島、右方向が仙台になります。


 
柴田大橋から白石川越しに遠望した船岡城趾(標高135m)です。


JR船岡駅の東側にも「さくら回廊」と名づけられた桜並木が続いていて1時間ほどで周回できます。

このあたりはとくに巨木が多く「日本一太いソメイヨシノ」(柴田町さくらの会による)というのもありました。

現地の立て札によれば、幹周り4.85m、東西26m・南北24m、高さ16mの巨木で、幹高2mほどのところから4本の大きな枝に分かれていて、(並木ではなく)一本桜として独立していれば間違いなくもっと有名になっているに違いありません。

JR船岡駅から電車でお隣の大河原駅まで戻ります。

電車もさくら祭り期間中は臨時便が運行されるほか、一目千本桜と並行する区間は観桜サービスのため徐行運転します。


白石川堤一目千本桜を切り上げて白石城へ回りました。

白石城は仙台藩の出城として明治初頭の廃城令まで存続し、現在は1995(平成7)年に復元された天守閣とともに、益岡公園として市民の憩いの場になっています。
城内には約230本の桜が植えられていて、桜まつりの時期には大勢の花見客で賑わいます。