(2015.8.16)

 

 

 

磐梯山の周辺は今なお火山活動が活発な地域で、1888(明治21)年7月の大噴火では北側斜面で発生した大規模な山体崩壊により、桧原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼をはじめ大小さまざまな堰止め湖が生まれ、今日の裏磐梯の景観が形成されたことは有名です。

その磐梯山の西方、猫魔ヶ岳の近くにも南北約3km、東西約2.5kmの火口原があって、そこに水を湛えているのが今回ご覧いただく「雄国沼」で、周囲3.5kmのカルデラ湖です。

標高1,089m(湖面)の高原に位置するため、沼の西側から南側にかけて高層湿原が発達していて、尾瀬によく似た植生分布を見ることができます。

「雄国沼湿原植物群落」として国の天然記念物にも指定されていて、7月前半はニッコウキスゲが湿原を黄色い絨毯で覆い尽くし、たくさんのハイカーやカメラマンで賑わいます。
雄国沼へのアクセスは、裏磐梯側の雄子沢口(おしざわぐち)から、雄子沢川に沿った林間コース(3.3km/約70〜80分)が整備されていますが、車で安直にという場合はシャトルバスという手があります。管理人はもちろん「安直コース」の方で行きました(笑)。
雄国沼を囲む外輪山の西縁、金沢峠(標高1,140m)というところまで林道が通じていて車で入れるのですが、ニッコウキスゲの開花時期にはマイカー規制が実施され、麓の駐車場に車を止めてシャトルバス(所要25分)で入ります。写真は金沢峠へ向けてバスが林道を上ってくるところで、眼下には会津盆地、右手奥には喜多方市街が遠望できます。
この林道が急坂、急カーブの連続で、おまけにバス1台がやっとという狭さで、谷側にはガードレールが満足にないうえに、山側には側溝がシッカリ口を開けているという、まことにスパルタンな林道(笑)で、マイカー規制の期間外であってもあまり乗り入れたくない所です。
それでも、シャトルバスは往復1,000円、なおかつ麓の駐車場は無料と、この種のシャトルバスサービスとしては、他地域に較べてとても「良心的」だったこともお伝えしておきます。

金沢峠から見下ろした雄国沼とニッコウキスゲの群落がある湿原です。湿原をめぐる850mの木道が整備されていて、一周20〜30分で周遊できるので、だいたい皆さん2〜3周されています(笑)。
金沢峠から10分ほど下ると雄国沼の岸辺に出ます。
ニッコウキスゲには「当たり年」があって、地元の方によれば、「当たり年の去年に較べると今年は見劣りがする」とのことでしたが、それでも花季としてはちょうど見頃を迎えていて、たくさんの観光客で賑わっていました。
ニッコウキスゲは、尾瀬、霧ヶ峰、霧降高原などでも群落が見られ、今までN'sTOWNでも何度かアップしましたが、何処も鹿の食害が深刻で、とくに霧ヶ峰では鹿避けの電気柵に囲まれた一角だけが辛うじて命脈を保っているような有様で、それらと較べると(当たり年でないとはいえ)雄国沼のニッコウキスゲは十分に見応えがありました。