(2015.7.5)

     

 

 

奈良盆地の西側には、奈良県と大阪府を隔てる生駒山地が連なっていますが、その東側に同山地と並行して南北に伸びる丘陵が矢田(やた)丘陵です。

標高は200〜300m程度のなだらかな丘陵で、生駒山地との間には平群(へぐり)谷が形成され、谷底を竜田川が南流しています。

今回はその矢田丘陵の中腹、奈良盆地を眼下に望む景勝の地に建つ「矢田寺」へお邪魔したので、その様子をご覧いただきます。

寺伝によれば、聖武天皇の勅願により創建された高野山真言宗の古刹で、その後、平安時代に至り、地蔵菩薩が本尊(木造地蔵菩薩立像=重文)となるや、地蔵信仰発祥の地として信仰を集め、今も一年を通じて参詣者の絶えることがありません。

境内は山腹にあるため、ところどころに急な石段が現れます。
矢田寺はアジサイ寺としても有名で、この時季には大勢の観光客で賑わいます。
アジサイの花はお地蔵様の手のひらにある宝珠の形に似ているころから、これを所縁として昭和40年頃より植栽が始まったとのことで、現在では約60種、1万株のアジサイが2万5千uの境内を埋め尽くして見事です。

境内の一角にはアジサイ園があり、丘陵の傾斜と起伏を上手く活かした回遊式の園内には、色とりどりのアジサイが頭上を覆うように咲き乱れて壮観です。
境内のあちこちにはお地蔵様が祀られていて、見頃のアジサイに埋もれるように佇むお姿は、見る者の心を和ませるものがあります。

本堂の裏山には、四国八十八ヶ所を模した霊場巡り(一周約4.5km、所要1.5時間)があって、鬱蒼とした杉林の中を参詣路が通じています。


既出で恐縮すが…、



管理人謹吟