(2015.3.1)

 

 

 

去年の今頃、2014/3/23の第198号で、大阪の「伊丹空港」を特集して多くの方にご覧いただきましたが、今回は第2弾ということで、「羽田空港」を採り上げることにしました。

羽田空港は、発着回数においても旅客数においても、我が国ダントツの基幹空港ですが、成田空港と合わせた発着回数では年間約60万回(2012年実績、以下同様)になり、上海(浦東+虹橋)=約59万回、北京(首都+南苑)=約55万回、ソウル(仁川+金浦)=約40万回、香港=約36万回、シンガポール=約32万回といった、アジア諸国の主要空港にも比肩/凌駕しています。

羽田空港は、いわゆる「沖合展開」(2004(平成16)年竣工)により、我が国では数少ない24時間空港として運用されていますが、四囲のほとんどを海面に囲まれているため地上からの撮影場所はどうしてもターミナルビルの屋上展望台が中心になり、お仕着せのアングルから変化に乏しい写真で我慢するほかないところ今回、船で沖合に出て航空機の離発着を間近に撮影できるという、「まことに結構な…」プランがあることを知り、さっそく出かけてきました。
羽田旅客サービス(日本空港ビルディングの子会社)が企画しているクルーズがそれで、いろんなコースが発売されています。
天王洲アイル駅(東京モノレール/りんかい線)の近くにある桟橋から出発して、大井コンテナ埠頭、城南島から羽田沖へと進みます。
約30分ほどで羽田沖へ到着します。
左側がD滑走路のオープンに伴って2010(平成22)年1月から運用を開始した新(現)管制塔で、高さが115.7m(国内最高、世界第3位)あります。右側はわずか16年で引退した旧管制塔(高さ77.6m)です。
先ずはD滑走路横に停泊して出発機を撮ります。
この日は北風が卓越していたため、着陸はA滑走路(34L)とC滑走路(34R)へ向けて南側から、離陸はC滑走路(34R)とD滑走路(05)から北側へ向けて行われていました。ちなみに、滑走路端に記している数字は進入方位角を示し、L/Rの記号は並行滑走路の左側(L)/右側(R)を示します。
定期便の間を縫って、民間企業の社有機も発着しています。これ(↑)は中国の太陽光発電会社の機のようです。
D滑走路は2010(平成22)年に建設された4本目の滑走路で、多摩川の河口に位置するため、流路を支障しないよう、南側の1/3ほどは桟橋構造になっています。北風運用時の離陸と南風運用時の着陸に使用され、空港発着枠の拡大に大きく貢献しています。

A滑走路とC滑走路へ同時進入する到着機です。

現在、羽田空港には4本の滑走路があり(冒頭の地図をご参照)、A滑走路とC滑走路、B滑走路とD滑走路がいわゆる「並行滑走路」を構成していて、両滑走路間に十分な間隔(5千フィート(約1.5km)以上)が確保されているため、並行滑走路へ(から)の同時着陸や同時離陸が可能になっています。

皆さまも羽田空港へ到着の間際に、別の飛行機が自機と並進しているのを見たご経験があるかと思います。こうした運用は、世界の大空港では珍しくないことですが、我が国では、羽田空港のほかには、成田空港と関西空港だけです。

ちなみに、伊丹空港も並行滑走路を有し、A滑走路からの離陸と同時にB滑走路への着陸といった運用は行われていますが、両滑走路の間隔が狭い(300m)ため、A、B両滑走路へ(から)の同時着陸(離陸)は認められていません。
国内線からは姿を消したB747ですが、海外の航空会社ではまだまだ現役で頑張っています。上(↑)のキャセイパシフィック機(CX-0543、香港行き)もB747-400ですが、1997(平成9)年8月の就航ですから結構な機齢です。

D滑走路を切り上げて、A滑走路先で到着機を撮ります。各ポイントでそれぞれ小一時間の撮影といった感じです。
着陸機の場合、このあたりの高度は約300フィート(約100m)、速度は145〜150ノット(270km前後)です。
管理人は、ふだん風景写真を主に撮っているので、飛行機のような動きの速いモノは苦手ですが、さらに今回は木の葉のように揺れる小船から撮影のため、ファインダーに収めるだけでもひと苦労でした。
国内線はいつのまにかB787がずいぶん「増殖」していて、上(↑)の写真もB787ですが、去年の9月から就航した最新型の9シリーズです。B787はこのアングルが一番似合うと思います。

A滑走路先からC滑走路沖へ移動してきました。C滑走路は昨年(2014年)12月から南側へ360m延伸されて、離陸スタート位置が従来に較べて海側へシフトし、陸域の騒音が軽減されることから、A380などの大型機が深夜や早朝でもC滑走路から離陸できることになりました。
上(↑)の写真は、フランクフルトから11時間かけて飛んできたルフトハンザ機(LH-0716)がC滑走路へ進入するところです。後の飛行機は並行するA滑走路へ進入中のANA機(多分)です。
この機体はB747の最新型=8シリーズ(B747もまだ製造が続いています)で、去年(2014年)の3月に就航した新鋭機です。
現在では長距離路線といえどもB777などの双発機がメインになりましたが、ルフトハンザはなぜか4発機への思い入れが強く、B747のほかにも、A380などを多用しています。(私見ですが)安全面での冗長性を評価して、あえて4発機にこだわっているのかも知れません。…とすれば、(管理人が言うのも口幅ったいことですが)誠に見上げた見識と思います。ちなみに、このB747-8ではルフトハンザが「ローンチカスタマー」になりました。

羽田空港では現在も日々改良工事が進められていて、2020(平成32)年の東京オリンピック開催へ向けて、さらに発着枠の拡大を図るべく、C滑走路の沖合に5本目(!)の滑走路建設や、A/C滑走路への北側=都心上空(現在は高度規制により飛行制限)からの直線進入、といったことも検討されているようです。
これからも進化を続ける「羽田空港」から目が離せません。


かつて「伊丹空港」も採り上げました。
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