(2014.3.2)

 

 

ハウステンボス(Huis Ten Bosch)のことは今さら説明するまでもないと思うので、その来歴を中心に少し脱線させてください。

ハウステンボスは、大村湾の北端にある針尾島という島の東岸に位置し、戦前には海軍の「針尾海兵団」(後に、兵学校針尾分校も併設)が置かれたところです。

戦後は海外からの引揚げ援護事業に供されたのち、県が工業団地への転用を図ったものの、工業用水の確保ができずに頓挫していたところへ名乗りを上げたのがハウステンボスでした。着工が1990(平成2)年2月、開園が1992(平成4)年3月といいますから、バブル景気に沸いていた当時の熱気がムンムンと伝わってくるような話です。

ちなみに、ここは江戸時代に干拓された水田や塩田の跡地だったため、ハウステンボスの建設にあたっても、地盤と土壌の改良に用地取得費を上回る巨費が投じられたことから、かりに用水の問題が解決できていたとしても、工業団地に適した場所ではなかったと言えるし、「運河と水辺の街」をテーマにした公園として開発されたのも、偶然のイタズラというよりも、必然の帰結とみるべきかも知れません。

ハウステンボスのその後については、あらためて書くまでもありませんが、各地のテーマパークやリゾート開発のご多分に漏れず、2003(平成15)年2月に会社更生法の適用を申請して破綻(負債総額2,289億円)、その後は野村グループの支援を経て、2010(平成22)年4月からはエイチ・アイ・エス(H.I.S.)による新たな経営再建が開始され、現在に至っています。

ハウステンボスの総開発面積は152ha(461千坪)で、東京ディズニーリゾート(ランド+シー)とほぼ同規模の広さですが、年間の来場者数は東京ディズニーリゾートの2,750万人(2012年実績、以下同様)に対し、190万人と1/10に満たない状況です。

ちなみに、東京ディズニーリゾートの2,750万人というのは、本家の米ディズニーワールド@フロリダの4,850万人に次ぐ世界第2位の来場者数です。さらにちなみに、国内の第2位は大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの970万人です。

H.I.S.社の澤田社長はインタビューで「ハウステンボスの構想は素晴らしいが、ディズニー並みのテーマパークを作る場所としては、アクセスが悪くて商圏が小さすぎる」といった趣旨のことを仰っています。

東京ディズニーリゾートの来場者数2,750万人のうち、70%強の約2,000万人は関東圏からの来場者、という統計があります。また、三重県桑名市にあるナガシマスパーリゾート(旧、クランスパー長島)が、128ha(388千坪)で国内第3位の585万人を集客しているのをみても、リピーターが鍵を握るこの種の事業にとって、立地やアクセスといった商圏が如何に大切であるかがよく分かります。

ハウステンボスの来場者数も、H.I.S.社による再建に伴って、2009(平成21)年の140万人を底に徐々に改善しており、地元佐世保市の支援もあって、収益面でも黒字化を果たしてきたようですが、今回、久しぶりに訪問した印象としては、春節の週末(土曜日)にしては些かさびしいものがありました。

…と、いつまでも脱線していると、「気は確かか?」と心配されそうなので、これくらいにして本編に移ります。


冬の目玉イベントとして開催されているのが「光の王国」です。ようやく今号の主題にたどり着きました(笑)。
1千万球を超える電飾が園内を彩るイルミネーションで、今年で4年目になります。
いま各地で人気のプロジェクションマッピングです。