(2014.2.9)

 

 

中国・台湾のみならず中華圏の国々や地域では、今でも旧暦の正月を盛大に祝う習慣があります。本家の中国では、今年は1月31日(旧暦元旦)から2月6日までの7連休が国の祝日になっていて、中国の人たちにとっては一年で最も重要な祭日です。

旧正月のことを「春節(しゅんせつ)」といいますが、日本の正月がそうであるように、新年を寿ぎ幸福を祈る様々な行事が催され、日本でも各地の中華街でその様子を見ることができます。そこで、
N's TOWNでは今回長崎へ遠征して、その風景を取材してきたのでご覧いただきます。

長崎は古くから西洋との交流の窓口として発展してきた町で、1571(元亀2)年に開港してポルトガルの商館が設けられたのをその嚆矢とします。市内には当時を偲ぶ史跡や遺構が大切に保存され、三方を山に囲まれた坂の多い独特の景観とともに、異国情緒あふれるその街並みは多くの観光客を今も魅了して已みません。

こうした長崎に居留する華人たちが、春節を祝う行事として新地中華街で始めたのが「ランタンフェスティバル(燈會)」の起源で、1994(平成6)年からは長崎市全体でのイベントになり、いまでは約15,000個のランタンが市内を彩り、期間中に延べ100万人を超える観光客(2013年実績)が訪れる冬の一大イベントになりました。

今年も1月31日から2月14日までの15日間にわたり、中華街(湊公園)を中心に市内7つの会場で開催されました。
中国では肥えた豚は財宝のシンボルとかで、金色の可愛い子豚をデザインした貯金箱(右の写真)をあちこちの土産店で見かけましたが、関帝廟に供えられた沢山の本物の豚は、さすがに結構なインパクトがありました。

長崎きっての繁華街「浜町アーケード」もランタンフェスティバル一色です。
各会場では巨大な「ランタンオブジェ」が目を惹きます。これは、中国の吉祥動物である龍を表したものです。
ランタンオブジェは、中国の縁起物や干支や三国志などを題材にデザインされています。
金魚は「金余」(お金が余るほど儲かること)と音が同じことから、中国では金運向上や千客万来を象徴する縁起物です。

眼鏡橋(国の重文)もライトアップされて、昼間とは別趣の幻想的な雰囲気です。
中華街に沿って流れる銅座川の一帯には、桃色のランタンが掛けられて、一味違った雰囲気を醸し出しています。
瓢箪(ひょうたん)は中国語で「hulu」と発音し、「福禄」に通じることから、やはり縁起物とされています。

春節におけるこの種の催事は横浜の中華街でも行われ、どちらかというと銅鑼や太鼓の陽気なイメージが強いのに対して、長崎のそれは賑やかな中にもどことなく哀愁があって、二胡の調べがピッタリする(実際、各会場で毎日、二胡の演奏会があります)実に異国情緒あふれるお祭りで、なんとも旅情をかきたてられるものがありました。



管理人謹吟