(2013.12.1)

 

 

「多武峰(とうのみね)」は、奈良県桜井市の南方約10kmのところにある標高500m前後の山地で、万葉時代の遺跡や社寺がたくさん見られる歴史舞台でもあります。

今回は、その多武峰にある「談山(だんざん)神社」の紅葉を取材してきたのでご覧いただきます。
談山神社は藤原鎌足公を祭神とする神社で、701(大宝元)年の創建といいますから、1,300余年の歴史を有する古社です。

藤原鎌足公は中大兄皇子(後の天智天皇)とともに蘇我入鹿を討ち、後に「大化の改新」と呼ばれる改革/革新にも尽力した人物で、「藤原氏」の始祖ともいわれています。

裏山(御破裂山)から続く傾斜地に大小の社殿が配置されていて、この時期には3,000本の紅葉が神域の内外を彩り、「関西の日光」とも呼ばれています。

拝殿(重文)の舞台から眺める紅葉です。

談山神社のシンボルともいうべき十三重塔(重文)です。藤原鎌足公の子息により、父の追福のために678年に建立されました。現存の塔は室町時代の1532(享禄5)年に再建されたもので、高さ17mの木造檜皮葺です。
どこか大陸的な雰囲気を感じさせる姿ですが、神社の資料によれば、唐の清涼山宝池院の塔を模したものとのことです。
これも定番アングルのひとつ、神廟拝所(重文)の前から眺める十三重塔です。この手前にある「蹴鞠の庭」では、中大兄皇子と中臣鎌子(後の藤原鎌足公)が出会うきっかけになった故事にちなんで、毎年春と秋に「けまり祭」が行われています。

多武峰も談山神社も、管理人は小学校の遠足で来たような、おぼろげな記憶があります。今では「関西の日光」(?!)とか呼ばれているようですが、今回久しぶりに訪れてみて、(日光や京都といった「有名どころ」とは別趣の)飾らない、気取らない、変わらない、いかにも奈良らしい渋い晩秋の佇まいに、小学生の昔にタイムスリップしたような気分に浸ることができました。