(2013.3.24)

 

 
「ダイヤモンド富士」というのは、朝日が富士山の山頂部から昇る、あるいは夕陽が富士山の山頂部に沈む現象のことで、その瞬間の光芒が、皆既日食の際の「ダイヤモンドリング」のように輝くことから、そのように呼ばれています。
まずダイヤモンド富士の仕組みを、念のために少しおさらいしておきますと…、

日の出/日没時の太陽と富士山頂を結ぶ線上にいればダイヤモンド富士を見ることができるわけですが、日の出/日没時の太陽の位置というのは、季節によって変化するため、ダイヤモンド富士を見られる場所も、それに応じて変化することになります。

春分/秋分には太陽は真東から昇り、真西に沈みますが、夏至には北寄りから、冬至には南寄りから昇って沈みます(右図ご参照)。これは地球の自転軸が傾いているためですが、この結果、ダイヤモンド富士を見られる場所も、富士山頂から南北35度の範囲で、季節によって移動することになります。
上(↑)の図のベージュで着色した範囲が[夕陽]のダイヤモンド富士を見られる範囲で、青色で着色した範囲が[朝日]のダイヤモンド富士が見られる範囲です。現在(3月下旬)は、春分ラインの近くがダイヤモンド富士を見られる場所で、このあと徐々に夏至ラインへ移動していき、夏至を過ぎると再び秋分ラインを経て、冬至ラインへと移動してきます。

それでは、これら着色範囲では必ず見られるかというとそうでもなく、障害物があって富士山頂が見通せなかったり、「絵的」に面白くなかったりするため、自ずとカメラが並ぶ「名所」のような場所があるわけですが、じゃぁその時期にその場所へ行けば必ず見られるかというと、さらに当日のお天気という不確定要因があり、なかなか思うようにはいきません。

上(↑)の写真は、江戸川に架かる「玉葉(ぎょくよう)橋」というところから撮ったものです。埼[玉]県と千[葉]県の県境で、橋の名前もこれに由来していますが、ここはダイヤモンド富士(夕陽)の「北限」ということで名所のひとつになっています。

北限ということですから、一年に1回だけ、冬至の日にダイヤモンド富士が見られます。ちなみに、北限と南限の間の場所では、一年に2回見ることができます。

玉葉橋は富士山頂から直線距離で約115km離れているので、よほど気象条件に恵まれないと、上の写真のようにボンヤリと霞んだ景色になり、茜色の夕焼け空に稜線がくっきり、といった景色にはなりません。
ここ(→)は山中湖の東岸の平野というところで、富士山を正面に見る絶景ポイントです。春夏秋冬、朝昼夕、いつ来ても素晴らしいところで、別名「カメラマンの聖地」とも呼ばれている場所ですが、当然、ダイヤモンド富士(夕陽)の名所でもあります。

ちなみに、上(↑)の写真は、当日、山中湖の近くで撮ったものですが、ダイヤモンド富士とは関係ありません(笑)。
ここは東京ゲートブリッジの袂にある若洲臨海公園というところで、橋の向こうに富士山を遠望することができ、毎年10月と2月の20日頃にダイヤモンド富士を見ることができます。ちなみに、先月(2月)は500人(!)ほどが集まったようです。

上(↑)の写真は2月末に夜景撮影に行ったときに撮った写真で、場所をご紹介するために掲載したもので、ダイヤモンド富士の撮影ではありません。画像の上にカーソルを合わせると、ダイヤモンド富士の際の富士山と太陽の位置が表示されます。約1週間(2/20〜28)で日没時の太陽の位置が、これだけ右へ(北へ)移動しました。

この橋は、一年前(2012(平成24)年2月12日)に開通した新しい橋です。本来であれば、レインボーブリッジやベイブリッジのように、吊橋が相応しい径間ですが、羽田空港への進入路にあって、高度制限に抵触するため、このようなデザインのトラス橋になりました。

上空の航跡は羽田空港へ着陸する飛行機のものです。この日は、陽が沈んでから南風が卓越してきたため、到着便は千葉市方向から西進してきて、橋の上空あたりで左旋回しながら、B滑走路へ下りていました。

…と、最後は案の定、ダイヤモンド富士とは何の関係もない「ウンチク」になってしまいました(笑)。