(2012.7.15)


   

 

 

  

日光市内と鬼怒川上流部の栗山村を結ぶ県道169号(霧降高原道路)が日光連山の東端を越えるあたり、赤薙山(あかなぎさん)の南東斜面に広がる高原地帯が霧降高原と呼ばれています。

6月〜7月にかけて霧の出ることが多いことが名前の由来とも言われていますが、ちょうどその時期に合わせるように、ニッコウキスゲの群落が一斉に花を開きます。

今回は、その霧降高原に咲くニッコウキスゲを取材してきたので、ご覧いただきます。
この辺りは標高が1,300〜1,500メートルあり、かつては市営のスキー場が開設されていました。スキー場は2003(平成15)年に休業となりましたが、その後も夏リフトの運営は継続され、ニッコウキスゲの咲き乱れる斜面を足下に眺めながら、4本のリフトを乗り継いで、山頂近くまで上るという贅沢なことができました。

しかし、設備の老朽化と累積する赤字により、ついにリフトも2010(平成22)年に廃止、その後、一帯は「霧降高原高山植物園」として、2013(平成25)年の完成を目指して、遊歩道やレストハウスの整備が進行中ですが、今年からニッコウキスゲの花季(6/23〜7/22)に限り、既に完成した中間点までの区間が、「プレオープン」されることになりました。

階段状の遊歩道を散策しながら鑑賞することになりますが、何しろもとはスキーリフトがあった場所なので、相応の傾斜があり、それが延々と続くので、然るべき履物とそれなりの体力が必要です(笑)。

ニッコウキスゲはユリ科の多年草で、ニッコウキスゲといっても日光だけの固有種ではなく、各地に普通に分布していますが、とくに高山帯下部の湿潤な草原を好み、霧ヶ峰(車山)や尾瀬ヶ原の群落が有名です。

ニッコウキスゲは、朝咲いて夕方には散ってしまう「一日花」ですが、一つの花茎に5〜6個のつぼみをつけ、それが順を追って咲いてゆくため、一定の期間にわたって花季を維持し、それが集まって群落を形成し、草原を埋め尽くすことになります。

黄色というのはもともと力強い色ですが、とくにニッコウキスゲの濃い黄色は、草原に夏の到来を告げるものとして、見る人の気分を明るくしてくれます。白雲湧き上がる夏空をバックにぜひ撮りたいものですが、ニッコウキスゲの咲くところは、なぜか霧が出やすいため、なかなか思いを果たせません。

この日も、早朝は青空も見ることができましたが、さすが「霧降高原」というだけあって、昼前になるとたちまち霧が下りてきました。しかし、それもこの一帯だけで、5キロしか離れていない日光市街まで下りると、梅雨の晴れ間の厳しい日射しが照りつけていました。蓼科の霧ヶ峰も、麓の白樺湖は晴れているのに、車山まで上ると濃い霧、ということが珍しくありません。

「霧降の滝」に立ち寄りました。この滝は華厳滝、裏見滝とならんで日光三名瀑に数えられていて、上滝(落差45メートル)と下滝(同40メートル)の2段になって新緑の中を落ちています。紅葉の時期が一番見事です。