(2011.7.24)


   

 

 

  

長良川は、岐阜県郡上(ぐじょう)市に源を発し、木曽川・揖斐川とともに濃尾平野を潤して、伊勢湾に注ぐ一級河川です。柿田川(静岡)・四万十川(高知)と並ぶ日本三大清流のひとつに数えられる名水ですが、今回は、その中流域にあたる岐阜市「長良橋」周辺で、鵜飼いの模様を取材してきたのでご覧いただきます。

鵜飼いは1
,300年の歴史をもつ古式漁法で、今も各地で様々な様式で行われていますが、ここ長良川河畔では、宮内庁式部職である鵜匠(世襲制)による「御料鵜飼」が継承されていて、各国の駐日大使夫妻等も招待されて、わが国伝統文化の紹介に一役買っています。また、宮内庁の御料場で獲れた鮎は皇室へ献上されるほか、伊勢神宮や明治神宮にも奉納されています。
正面の山が金華山(329メートル)で、その下を流れるのが長良川です。向かって左手が上流、右手が下流になり、ちょうどこの辺りの水面で鵜飼いが行われます。金華山の頂上に小さく見えているのが、岐阜城(かつての、稲葉山城)で、斎藤道三や織田信長の居城として、「国盗り物語」(司馬遼太郎)の舞台になった名城です。

鵜飼いは、暗夜に篝火を焚いて行う漁のため、観覧客は屋形船のなかでお酒やお食事をいただきながら、陽が落ちるまで舟溜まりのような場所で待機します。

その間に、「焼き舟」が芳ばしい香りを振りまきながら接舷して、焼きたての鮎を届けてくれたりするので、ついついお酒が進んでしまいます。

また、綺麗な「鵜ガール」(仮称!)を満載した「踊り舟」も流れてきたりして、雅びなのか喧噪なのか、よく分からない状況になってきます(笑)。

この日は19:45に、花火の合図で鵜飼いが始まりました。鵜飼は川を下りながら漁をするので、屋形船の方も鵜舟と並走しながら、これを見物する格好になります。



(C) 岐阜市観光協会
鵜舟は全部で6艘、それぞれに鵜匠と舟を操る船頭が2人乗っていて、10〜12羽の鵜を操ります。

松割り木の篝火に照らされた景色はまことに幽玄そのものですが、足場の悪い舟べりで揺れながら撮るのはなかなか骨が折れます。

鵜飼いのクライマックスともいえる「総がらみ」です。これは、6艘の鵜舟が横隊になって、浅瀬に魚を追い込む「巻き狩り」の一種ですが、あいにく「本艦」の停泊位置が悪くて、こんな写真しか撮れませんでした。


おもしろうて やがて悲しき 鵜舟哉

ご存知、蕉翁45歳の作です。