(2011.1.9)


   

 

 

  

俳句をやっておられる方はよくご存知ですが、冬の季語に「冬ざれ」という言葉があります。辞書によれば、「冬の時季。また、冬の、草木の枯れて荒涼たる様子。<大辞林>」とあります。

要するに、冬になって草木が枯れるとともに、海や山など見渡す限りの景色が荒れ果てた感じをいったものです。「天地が荒(すさ)んで粛然とした様子」という解説もありますが、何もそこまでいわなくても…(笑)。

ちなみに、「冬ざる」の「ざる」というのは、「曝(さ)る」※が変化したものといわれています。

※ 長い間、風雨や日光に当たり、色が褪せたり朽ちたりすること。

例句としては、「冬ざれや厨に赤き蕪かな」(子規)とか、「冬ざれや小鳥のあさる韮(にら)畠」(蕪村)、といった具合です。同じ「冬ざれ」を詠んだ句ですが、冬といいながら何処か温もりの感じられる蕪村の句風に1票!

さて、例によって、前置きが長くなりましたが、今回は、日常生活では使うことのないケッタイな言葉「冬ざれ」をテーマに、小石川後楽園を取材してきましたのでご覧ください。

小石川後楽園は、寛永年間に水戸徳川家の中屋敷(後に上屋敷)に造築された大名庭園ですが、東京ドームのすぐ隣りという都心のど真ん中にあって、今では貴重な潤いの空間となっています。

現在は、東京都により維持運営されていて、春の枝垂れ桜や秋の紅葉の時期には、たくさんの人出で賑わいますが、さすがにこの時期は閑散としていて、十分に「冬ざれ」ていました。

「名残りの紅葉」が傾いた冬の陽に映えていました。ちなみに、この風情ある一角はお手洗いです(笑)。
左手の高い建物は文京区役所(28階建て!)、右手後方は東京ドームの屋根です。

冬桜が花をつけていました。

紅梅の蕾はまだまだ固く…。


冬ざれの庭に短日惜しみけり  管理人謹吟

↑これって、季重なり…? ご無礼しました。 m(_ _)m