(2010.11.21)


   

 

 

 

海上自衛隊といえば、当然ながら艦艇部隊が主体ですが、哨戒や救難業務を中心に約200機の航空部隊も保有しています。

こうした航空部隊を運用する要員の養成にあたっているのが、「教育航空集団」という組織で、千葉県柏市にある下総航空基地に司令部がおかれています。

教育航空集団の隷下には、小月教育航空群(山口)、徳島教育航空群(徳島)、下総教育航空群(千葉)、第211教育航空隊(鹿屋)が編制されています。

海上自衛隊で搭乗員を目指すすべての隊員は、小月基地の第201教育航空隊で、単発機(
T−5練習機)による基礎課程からスタートし、徳島基地の第202教育航空隊で、双発機(TC-90練習機)による計器飛行課程を修了の後、下総基地の第203/205教育航空隊で、実用機(P3−C/YS-11)による実戦課程を経て、各地の部隊へ配属されます。

ちなみに、ヘリコプターの搭乗員を目指す場合は、徳島基地での課程修了後、鹿屋基地(鹿児島)の第211教育航空隊で回転翼基礎課程へ進みます。

更にちなみに、下総基地には、航空整備及び航空基地業務に関する要員を養成する「第3術科学校」もおかれていて、海自航空部隊の教育養成のための中心基地になっています。

更に更にちなみに、海自には全部で4つの術科学校があって、第1術科学校(艦艇技術)が江田島に、第2術科学校(機関・情報)が横須賀に、第4術科学校(経理・補給)が舞鶴にあります。


この辺りは、羽田/成田/百里(茨城)の管制圏が複雑に入り組んでいるうえに、周辺には小型機やスカイレジャー機が離着陸する小さな飛行場がたくさんあるため、大小の飛行機が縦横に入り乱れて、管制の苦労が絶えない空域ですが、更に10月からは羽田の4本目の滑走路(D滑走路)が供用開始になったため、下総上空を航過する航空機が一段と増えることが見込まれるため、安全運航の確保へ向けて関係方面の取り組みが進められているところです。
「そうだったのか!海上自衛隊」、それでは本編でじっくり勉強していきましょう。←えっ、池上 彰?(笑)
下総航空基地では毎年9月の下旬に基地祭が催され、基地内の公開や航空機の展示/飛行が行われます。N's TOWNでは、今回、初めてお目に掛けますが、管理人の自宅から近いこともあって、今までに何度も取材しているため、昔の基地祭の写真も若干混在しているので予めお断りしておきます。

ご存知YS-11です。国内の民間定期路線からは2006(平成18)年に引退しましたが、自衛隊では引き続き活躍していて、輸送機として4機(厚木航空基地)、訓練機として6機(下総・第205教育航空隊)、合計10機保有しています。

エンジンは英国ロールスロイス社製のターボプロップエンジンで2,660〜3,060馬力あります。

しかし、さすがに寄る年波に勝てず、下総の6機は今年限りで引退することになり、今回の基地祭がYS-11にとっては最後の一般公開となりました。引退後は厚木に残る4機のための部品取りになるのではないかと推測しています。(←管理人の私見ですが…)

これは、現在の主力哨戒機のP-3Cで、米国ロッキード社(現、ロッキード・マーティン社)が開発(日本では川崎重工業によりライセンス生産)したターボプロップエンジンの4発機です。海上自衛隊で約100機を保有して、日本近海の対潜哨戒や不審船の警戒から、最近ではソマリア沖・アデン湾での海賊対処行動にも派遣しています。

上の写真は機体下部の爆弾庫(Bomb Bay)を開けて物資を投下する訓練の様子です。

この飛行機はUS-2という救難飛行艇です。飛行艇というのは水上から離発着のできる飛行機で、その長い航続距離を活かして、海難救助や離島の急患輸送などに活躍しています。先代のUS-1とともに、製造は新明和工業で、その前身は戦前の名機・二式大艇を生んだ川西航空機です。

二式大艇ゆずりの抜群の凌波性能が自慢で、波高3メートル(!)の荒海で離着水が可能な飛行艇は、世界中でもUS-1/US-2のみです。ちなみに、この塗色は洋上迷彩といって、US-1が白と赤の警戒色だったのに較べ、精悍な印象が強く、マニアの間では「二式大艇仕様」(笑)と好感されています。

このヘリコプターは救難用のUH-60Jです。これは、かつて下総に救難飛行隊が編制されていて、同型機が配置されていたため、その所縁で「友情出演」のものかと思います。(←またまた、管理人の私見ですが…) ちなみに、2008(平成20)年に下総救難飛行隊が解隊して、館山航空基地(千葉)へ移動した後は、下総には実戦部隊がいなくなり、訓練基地に特化したため、土・日曜は基本的に飛行課業がお休みになるなど、近隣地域にも配慮した運用が行われています。

毎回、基地祭では陸上自衛隊第1空挺団(習志野)による空挺降下も行われます。陸自の習志野演習場には滑走路がないため、降下訓練の際には下総で輸送機に乗り込み演習場上空へ向かっていることから、日頃お世話になっているお礼も兼ねて、海自の基地祭に「友情出演」しているものと思います。(←これも、管理人の私見ですが…)



次回はいつものようにネイチャーフォトでお目に掛かります。ご無礼しました。