(2010.5.2)


   

 

   

羽田空港では(…と、例によって「外角いっぱい」から入ってしまいましたが)、航空機の安全運航のため、空港を中心にして、時計回りに1時から7時の方向、半径24キロの圏内に、建物の高さ制限(295メートル)を設けています。その区域の大半は東京湾の上空なのですが、都内では江戸川区・葛飾区・江東区といった、いわゆる「城東地区」が影響を受けています。

墨田区も一部がその対象になっていますが、2005(平成17)年4月の見直しにより、隅田川を挟んで浅草の対岸にあたる押上・本所地区が高度制限から外れた結果、新東京タワーの建設場所が、さいたま市や練馬区といった競合を抑えて、2006(平成18)年3月に現在の場所に正式決定されました。

「現在の場所」というのは、東武線伊勢崎線の業平橋駅(なりひらばし)と地下鉄押上駅(おしあげ)に挟まれた一角です。業平橋駅というのは浅草駅(終点)の一つ手前の駅で、かつては貨物駅も付属し、近くは狭隘な浅草駅に代わって伊勢崎線のターミナル機能を担っていた時期もありましたが、その後、2003(平成15)年より伊勢崎線から地下鉄半蔵門線への直通運転が開始されるに及び、徐々にその機能を縮小し、広大な構内のほとんどが更地にされ、そこに新東京タワーが誘致された格好になります。

したがって、新東京タワーの用地はすべて東武鉄道の所有で、近くには東武鉄道の本社もあって、一帯はさながら「東武村」といった観があります。新東京タワーの事業会社である「東武タワースカイツリー株式会社」も東武鉄道が全額出資、総事業費約650億円もそのほとんどが東武鉄道により賄われる、など東武鉄道丸抱えのプロジェクトといえます。

2008(平成20)年6月、新東京タワーは公募により「東京スカイツリー」という名前に決定、同年7月より着工し、2011(平成23)年末の竣工、2012(平成24)年春の開業を目指して工事が進んでいます。完成時には「世界で一番高い(634メートル)自立電波鉄塔」として、関東一円へ向けて地デジ放送を送信することになります。
現場は既に「観光名所」と化していて、週末ともなると見物客が絶えません。本格的な高層タワーの建設は、「現」東京タワー(1958(昭和33)年完成)以来とあって、工事の進捗を毎日カメラに収めている熱心な人もいるそうです。

取材日の高さは318メートルでしたが、3月29日には338メートルになり、「現」東京タワー(333メートル)を抜いて日本一になりました。4月24日現在では358メートルまで立ち上がっています。

写真の列車は、浅草と東武日光・鬼怒川温泉を結ぶ特急「スペーシア」号です。