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この辺りは今まであまり大規模な開発が行われてこなかったこともあり、レジャーランドやホテル・旅館といった観光施設が景観を損ねることもなく、豊かな自然を上手く活かした見どころが随所にあって、高原の気分を満喫できる素晴らしいところです。とくに、10月の中旬にはシラカバやカラマツの美林が一斉に黄葉して高原の秋を彩ります。
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モミジやカエデの紅葉は、その艶やかさにおいて、さながら錦秋といったきらびやかさがありますが、抜けるような青空をバックにしたシラカバやカラマツの黄葉は、短い高原の秋を締めくくるに相応しい、胸のすくような爽やかさがあります。
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撮影の舞台裏を少しご披露します。「取材地はどうやって探すの?」とよく聞かれます。普段から気になる候補地をメモに書き留めているのですが、お天気と休日と花季が上手くマッチしないことが多く、今回の八千穂高原も3年越しの計画がようやく実現したものです。
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それでも、初めての所は何かと勝手が分からず、時間の配分や回る順序を間違えたり、道に迷っているうちに日没ゲームセットになったり(笑)、見頃のはずが既に散りかけていたり(観光系のWEBサイトは過信禁物)と、無駄足や空振りに終わることが少なくありませんが、今回の八千穂高原は、それらのすべてに恵まれた幸運な取材でした。
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野球のピッチャーが好調なときに「ボールが指に掛かる」という言い方をします。ボールにしっかりと回転を与えてキレの良い投球ができている感触かと思いますが、写真の場合でも写材や光線に恵まれて夢中で撮影しているときには、「撮れてる感」といったような感触を感じることがあります。
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とくに、人っ子ひとりいないような所で、夢のような景観が拡がっているポイントを見つけたりすると、何かその空間と時間を独り占めしたような幸福感と高揚感に浸ることがありますが、八千穂高原では久しぶりにそういう「撮れてる感」のある撮影行を堪能することができました。
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「写真というのは、見せるものであって、語るものではない」というような思いもあって、(写材についてのウンチクはともかく)撮影の舞台裏(最近はやりの言葉で言えば『メイキング』)については、今まであえてコメントを控えてきましたが、今回の取材については久しぶりに充実した撮影行となったこともあり、(写真の出来映えはともかくとして)あえてその様子をご紹介させていただきました。
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こんなふうに書いていると、「独りで妙に盛り上がっていて危ない奴だなぁ…」とか「尿検査した方がいいんじゃないか」(笑)とか言われそうですが、本人はいたって正気なのでご心配はご無用に願います。
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木の間から射し込む「スポットライト」に一枝の黄葉が浮かび上がっていました。 |