(2008.11.2)


   

     

   

尾瀬は群馬/福島/栃木の3県にまたがる高層湿原で、尾瀬沼を中心とした地域と尾瀬ヶ原を中心とした地域に二分されます。

尾瀬沼は過去に何度か訪れたことがありますが、それもずいぶん以前のことなので、今回ご覧いただく尾瀬ヶ原が
N's TOWNとしては「初めての尾瀬」ということになります。
尾瀬は四方を山に囲まれた盆地のような地形になっていて、群馬県側から3箇所、福島県側から2箇所、新潟県側から1箇所、合計6箇所の「入口」がありますが、今回は群馬県側の「鳩待峠」というところから入りました。

ここは峠の頂上までシャトルバスで行ける(マイカーは乗入れ禁止)ため、尾瀬ヶ原へのアプローチが最も短い(約3キロ)ことから人気のルートです。


鳩待峠(標高1,600メートル)から急坂を1時間ほど下ると、もう尾瀬ヶ原の「山の鼻」に到着です。尾瀬ヶ原の標高が約1,400メートルなので、標高差にして200メートルを下ったことになります。往きは下り一方でラクチンですが、戻りはこれを1時間半かけて登ることになります(苦)。

山の鼻にはビジターセンターや山小屋が集まっていて、尾瀬探勝の西側の拠点になっています。今日はここを起点に尾瀬ヶ原を反時計回りに一周することにします。(↓の案内図ご参照)
ビジターセンターの近くから至仏山(2,228メートル)への登山道が通じていて、朝露に輝くクマザサが木道に彩りを添えていました。

山の鼻を出て尾瀬ヶ原を東進します。まだ早朝のため木道を行くハイカーの数も少なく清々しい気分です。背後の山は至仏山です。

尾瀬ヶ原にはこうした池とも沼ともつかない水たまりが多く見られます。これは池塘(ちとう)といって、高層湿原が形成される過程において、堆積した泥炭層の隙間に水がたまったもので、尾瀬にはなくてはならない景観です。ちなみに、「塘」という見慣れない漢字は、「つつみ」と訓読し土手を意味します。

水面に浮かんでいる、水草は「ヒツジ草」というスイレンの仲間で、花季は7〜9月です。

このあたりは「牛首」というところで、ひときわたくさんの池塘が集まっています。牛首という奇妙な名前は、湿原に向かって張り出した小高い丘を牛の首に見立てたもの、といわれていますが…。

「竜宮小屋」を過ぎて福島県に入り、一面の草紅葉のなかを「見晴」へ向かいます。ここまで来ると、燧ヶ岳(2,356メートル)がずいぶん近くに見えます。見晴は尾瀬ヶ原の東端にあたり、ここから林間をさらに5キロほど進むと尾瀬沼へ出ますが、今回はここでUターンして、尾瀬ヶ原の北縁を回って山の鼻へ戻ります。

この辺り(東電小屋付近)は只見川の源流部にあたり、ごく短区間ながら新潟県を通過します。ルートは山裾を辿る格好になるため黄葉が見事で、さっきまでの尾瀬ヶ原とはひと味違った景観を楽しむことができます。

尾瀬の秋はとても短くて、ほとんどの山小屋は10月下旬で営業を終了し、散策路の橋板も雪害防止のため11月から順次取り外されて冬支度に入ります。草原が新雪に覆われるのももうすぐです。

今回は、見晴まで足を伸ばして、尾瀬ヶ原を大回りしたため、約20キロの行程になりました。尾瀬には自動車道路が一本も通じていないため、徒歩で周遊するしかありませんが、「歩かないと行けない場所」(そして、携帯も尾瀬全域で圏外!)ということ自体が今や最高の贅沢といえます。いつまでも「はるかな尾瀬」であってほしいものです。