(2008.3.23)


   

 

     

熱海から国道135号に沿って東伊豆を南下すること約1時間半、陽光きらめく相模灘の群青がひときわ色濃くなってくる辺りが静岡県加茂郡河津町で、沿道の随所にピンクの花弁をつけたサクラを見ることができます。これが早咲きのサクラで全国的に有名になった「河津桜」です。

河津桜というのは、大島桜と緋寒桜の自然交配種で、染井吉野のような可憐には欠けますが、艶やかなピンクの大きな花びらが特徴で、南伊豆の早春になくてはならない風物詩として、今では150万人を超える集客力を有する一大観光資源に成長しました。

今回はその「河津桜」を取材してきましたのでご覧いただきます。ちなみに取材日は3月1日(土)です。


伊豆急行の河津駅付近から河津川に沿って約3キロにわたって植えられている桜並木が中心で、南伊豆の温暖な気候と早咲きの特色により毎年2月中旬から開花を始め、もともと花季が長いことに加えて、川下から川上へ向けて順次開花してゆくので、約1ヶ月間にわたって楽しめることも人気の秘密です。
下の写真は河津川の上流にある「河津七滝(ななだる)ループ橋」です。修善寺から天城峠(標高700メートル)を越えて来た国道414号は、このループ橋で2回転して45メートルの高低差を一気に下ります。この周囲も河津桜の観桜スポット(画面右下に少し……)で、夜間はライトアップされるのですが、下流より標高差があるためまだ一分咲きでした。
桜並木の脇の花壇や、河津川の土手には菜の花が植えられていて、桜のピンク色と菜の花の黄色のコントラストが、いかにも「みなみの桜」といった風情で、何とも華やかな雰囲気を醸し出しています。
下の写真は、河津桜の原木といわれている木で、その由来を記した看板によれば、1955(昭和30)年にこの家の当主であった飯田勝美氏が、河津川沿いで桜の若木を偶然見つけて庭先に植えたことが始まりで、その後の調査で新種の桜とわかり、1974(昭和49)年に「河津桜」と命名され、1975(昭和50)に河津町の木に指定されたとあります。2005(平成17)年には河津町の天然記念物にも指定されていて、今も飯田家の庭で元気に枝いっぱいの花をつけています。
桜の蜜を求めてたくさんのメジロが飛び回っていました。桜のピンク色とメジロの薄緑色の配色は巧まざる自然の配剤と言うほかありませんが、これが落ち着きのない連中ばかりで、片時もジッとしていないため、カメラで追いかけるのが一苦労です。撮っているときは気がつかなかったのですが、よく見ると↑は幼鳥で↓は成鳥、のようです。




次回(4月13日更新予定)は、西伊豆の古い港町、松崎町の様子をご覧いただきます。ぜひお立ち寄りのうえご笑覧ください。