(2008.1.20)


   

   

     

今年のお正月は、全国的に荒れ模様のお天気でしたが、唯一、関東地方の南部だけは冬晴れの日が続きました。

今回は好天に誘われて、山中湖から日本平方面へ進出して参りましたので、その様子をご覧いただきます。

終日快晴に恵まれて、紺碧の空をバックにした富士山の雄姿を心ゆくまで堪能することができました。

この一帯は、今まで
N'sTOWNでも何度かご紹介したことがあるので、似たようなカットがあるかと思いますが、その点はご容赦ください。
山中湖(山梨県)の東岸にある平野地区から撮った払暁の富士山です。平野地区からは、視界を遮るものが一切ない広い空間に湖水と富士山を欲しいままにできるため、富士山の撮影地の中でも人気の場所で、この日も氷点下8度の寒気をものともせず、50人を超すカメラマンやカメラウーマンが三脚を林立させていました(笑)。

上の写真は日の出直前(午前6時30分)の様子で、上空は急速に明るさを増し、山頂付近の冠雪が輝き始めようとしています。対岸にはまだ灯火が残り、手前の岸辺では眠りから覚めたカモが毛づくろいをしています。残月でも懸かっていると絵になるのですが、この日は残念ながら月は背後に出ていました。

更に日が昇った午前7時頃の様子です。山頂付近の雪が朝日を浴びてピンク色に染まっています。カメラマンの間では、これを「紅富士」といいます。ちなみに「赤富士」というのは、雪のない季節に朝日や夕陽で山体が赤く染まることをいいます。水面近くにもやもやしているのは、湖水から立ち上る水蒸気です。殆どのカメラマンは紅富士がお目当てのため、日が昇ると早々に次のポイントへ移動していきましたが、私は少し粘って白鳥のお相手をしました。

すっかり日が昇った午前9時頃の様子です。この白鳥はコブハクチョウといって、くちばしが淡紅色で眼の周りの羽毛が黒いのが特徴です。山中湖に棲みついていて、オオハクチョウのように「渡り」はしません。

小一時間ほど粘っていたら、岸辺の近くまでやって来てポーズをとってくれました。画面右下に岸辺近くの水面が凍っているのをご覧いただけると思います。

山中湖を撤収して、御殿場から表富士(静岡県側)へ出てきました。富士山をバックに新幹線を狙ってみましたが、山頂付近に絡まった雲が取れずに閉口しました。新幹線は殆どが防音壁やシェルターの中を走っているので、今ではこうした「素通し」の区間は稀少です。

富士川橋梁(全長1,373メートル)です。下りの新幹線に乗ると、新富士駅を過ぎて1分ほどすると富士川を渡りますが、冬場の好天時には右側の車窓に冠雪をいただいた富士山を眺めることができます。上りの場合は蒲原(かんばら)トンネルを抜けたとたん富士山が視界に飛び込んできますが、その場所がここです。

日本平(標高308メートル)からの眺望です。手前が清水の市街地と清水港、駿河湾を挟んで右手奥が富士市から沼津市の方向になります。

歌川(安藤)広重が東海道五十三次で由比(ゆい)を描いたのが右上の絵で、ご存じの方も多いと思います。東海道のこの辺りは、身延方面からの山塊が駿河湾に落ち込む所で、古くから交通の難所でした。

現在も(海側から)東名高速・国道1号線・JR東海道線(在来線)が崖下の狭い場所にひしめいています。ちなみに、新幹線は左手の山腹の中を由比トンネル(全長3,993メートル)で抜けています。

旧東海道はこの崖っぷちを巻くように通じていて、写真の場所はその峠にあたる薩垂(さった)峠という所です。ここは広重の絵と同じ場所で、海抜100メートル弱の高さですが、駿河湾を手前にして富士山の秀麗な姿がひときわ冴える海道屈指の景勝地です。

(お断り:薩垂峠の「垂」は正しくは「土偏に垂」と書きますが、インターネットでは(多分)正しく表示されないので「垂」の字で代用しました)