(2007.11.4)


   

 

     

今年は残暑が厳しかったため、各地の紅葉は例年に較べて10日から2週間ほど遅れているようですが、それでも漸く上信越国境の山々から紅葉情報が聞かれるようになり、関東地方も錦秋の幕開けとなりました。

そこで、今回は一足早い紅葉を求めて、群馬県の利根川上流部に分け入ってきましたので、その様子をご覧いただきます。


先ず最初は谷川岳・幽の沢を目指します。谷川岳天神平ロープウエイの麓駅から林道(実は国道291号線!)をさらに奥へ進みます。
マチガ沢、一の倉沢を過ぎて、小一時間ほど進んだところが幽の沢で、正面に立ちはだかる岩壁をバックに、紅葉が見頃を迎えていました。
幽の沢から一の倉沢へ戻ります。漸く霧が晴れて朝日に紅葉が映えてきました。奥利根はミズナラやブナといった樹種が多いため、山の景色も紅葉というより黄葉が中心になります。
ここが谷川岳・一の倉沢です。正面の岩壁は1,000メートルを超す高さで、岩登りのメッカになっています。また、その険しさから「魔の山」とも呼ばれていて、昭和6年から平成17年の間で781名もの遭難者が出ていて、世界ワースト記録を保持しています。(ちなみに、エベレストのそれは178名) 下の写真の場所は、正しくは「谷川岳・一の倉沢出合い」といって、ここまでは車が入ることもでき(注)、ご覧のように観光客やハイカーで賑わっています。道路手前方向が麓側、道路右方向が奥地(幽の沢)になります。

(注)紅葉シーズンは麓のロープウエイ駅から奥は乗り入れ禁止になります。
一の倉沢を後にして、ロープウエイ麓駅まで戻ります。下の写真の眼下に見えているのは、JR上越線(在来線)の土合(どあい)駅付近です。ちなみに、写真に写っているのは上り線(上野方)のホームで、下り線(新潟方)のホームは新清水トンネルの中(地下70メートル)にあって、地上の駅舎から長いトンネル(462段の階段)を10分ほど下ったところにあります。←久しぶりのウンチクでした。(笑)
利根川の上流部には大きなダムがいくつもあって、関東地方の水がめになっています。写真のダムはそのひとつの「奈良俣ダム」です。平成2年に完成した比較的新しいダムで、岩石を突き固めたロックフィル式のダムです。堰堤の周辺が見事に紅葉していて、さながら「錦(にしき)織なす」といった風情です。
県道63号線(水上・片品線)を更に遡上した辺りが「照葉峡」と呼ばれる一帯で、大小の滝が岩を噛み、水しぶきが黄葉を揺らす、といった具合で、文字通り「奥利根」の趣があります。俳人水原秋桜子も何度も吟行に訪れたとかで、点在する11の小滝に銘がつけられていて、「水と黄葉」の取り合わせの妙が見所です。
峠を片品方面へ下るとカラマツの黄葉が夕陽に映えて、早くも冬の訪れを告げていました。