(2006.5.21)


   

 

    

今回はまだ残雪に覆われた上越国境の山々から陽光の県南まで、季節の移り変わりを早送りするように、群馬県を北から南へ縦断してきました(←ちょっと大袈裟ですが……)。
関越自動道を水上I.C.で下りて国道291号線をどんどん山中に分け入っていくと、JR上越線(在来線)の湯檜曽(ゆびそ)駅や土合(どあい)駅を過ぎて急坂を登り詰めたところに谷川岳ロープウエイの麓駅があります。ここはスキー客の基地になっているため立派な駐車場もあって、冬場もここまでは除雪されています。

下の写真は新装なった谷川岳ロープウエイ(ゴンドラの懸架方式がユニーク)で、奥は天神平スキー場(営業中)です。

更にこの場所から約3キロ先の一ノ倉沢出合いまで道路が通じていて、例年ならゴールデンウイークの頃には雪もあらかた融けて恰好のハイキング道になるのですが、今年は冬場の大雪のため今も2メートルを超す雪に埋もれ、どこまでが道路でどこからが斜面か定かでない有様。

ちょうど写真の機材を背負った2人組が下りてきたので様子を聞いたところ、相当の深雪に難渋した様子で、所要時間も普段の倍(1時間30分)かかったとのこと。今回は「残雪の一ノ倉沢」を主題に遠征して来ましたが、ここは思い切って撤収することにしました。

余談ながら、一ノ倉沢出合いから先は登山道(徒歩)となって清水峠を目指していますが、何とこの「登山区間」も国道291号線の一部を構成していて、各地のこうした「登山国道」ばかり踏破している好事家もおられます。ちなみに、清水峠を越えて新潟側へ下りた先は六日町を経て柏崎まで通じています。

一ノ倉沢を撤収して片品村にある「水芭蕉の森」へ向かいました。片品村はあの尾瀬への入り口にあたり、平成の町村合併もここまでは及んでいないため、今も群馬県利根郡片品村のままです。ぜひ「片品」という美しい名前をいつまでも残してほしいものです。

またまた余談ながら、水上町は昨年10月に近隣の月夜野町と新治村を合併して、「みなかみ町」になってしまいました。水上のままなら何もわざわざ素っ気無い平仮名にすることもないと思うのですか……。

片品村の水芭蕉といえば尾瀬の玄関口にあたる大清水の群落が有名ですが、今年は豪雪に見舞われたため開花が遅れ、例年ならゴールデンウイークには見頃を迎えるのが5月の中旬までずれ込みました。ちなみに尾瀬も17日に山開きしましたが、まだ2メートルを越す残雪に覆われていて冬の佇まいです。

今回取材した「水芭蕉の森」は大清水より下流にあるため既に8分咲きの状態でした。ここはかなり人の手が入って整備されたような場所で、いささか野趣に欠けるきらいはありますが、アクセスが良いためお年寄りや子供でも手軽に散策し鑑賞することができます。

水芭蕉はサトイモ科の植物で、白く花びらのように見える部分は「包」といって葉が変形したもので、仏像の背後に立つ光背(仏炎)に似ていることから仏炎包と呼ばれています。花は包の中心部にある円柱状の表面にびっしりと付いている微細な黄色い花弁がそれです。

最後に高崎市箕郷(みさと)町の芝桜公園へ回りました。箕郷町も今年1月に近隣の町村とともに高崎市に併合されましたがキリがないので端折ります(笑)。ここは町有林のあった丘陵地(約1.5ヘクタール)で、2001年から近隣の榛東(しんとう)村に駐屯する陸上自衛隊第12旅団の協力を得て、地域活性化事業の一環として芝桜の植栽が始まり、2003年から一般に公開されているとのことです。

ちなみに、第12旅団というのは東部方面隊隷下の部隊で、榛東村の相馬が原に司令部があって、群馬県、栃木県、新潟県及び長野県に所在する部隊を統括しています。また、最近では第10次(たぶん最終次)イラク支援部隊が第12旅団を中心に編成され、5月6日に相馬が原で壮行式が行われました。

芝桜をテーマにした観光地は各地にあって、ちょっとしたブームのような状況です。関東地方では秩父の羊山公園が有名ですが、ややアクセスに難がある(関越道から遠く、シーズン中は渋滞が不可避)ため、足場の良さではこちらの方がお奨めです(ただし、それでも午後になると周辺は大渋滞ですが……)。
こちらをクリックすると会場のパノラマ写真がご覧に慣れます→