(2005.11.6)


   

 

    

「乗鞍岳」という名前を知らない方はおられないと思いますが、その正確な場所となると(管理人も含めて)あやふやなことが多いので、先ずは全体の位置関係のおさらいから始めたいと思います(エヘン)。

右の地図をご覧ください。長野県と岐阜県の間には槍ヶ岳から御嶽山に連なる3千メートル級の峰々が聳えています。そのなかで、乗鞍岳(3,026メートル)は焼岳(2,455メートル)の南にあって、標高もさることながら、ひときわ雄大な山塊で辺りを払っています。

乗鞍岳と焼岳の鞍部にあるのが安房峠で、国道158号線(福井から高山を経て松本に至るルート)がここを越しています。また、乗鞍岳の南麓を巻くように越えているのが有名な野麦峠で、飛騨と信濃を結ぶ古道としてかつては往来が盛んでした。

ちなみに、槍ヶ岳から焼岳へ続く穂高連峰の山麓に位置するのが前回ご紹介した上高地で、安房峠直下(長野県側)の中ノ湯から釜トンネルを抜けて入ります。釜トンネル(通称、釜トン)は最大斜度20度(!)の狭い素堀りトンネルで、長らく渋滞の元凶になっていましたが、今年7月に新トンネルが開通しずいぶん通り易くなりました。
余談のついでにもう一つ。上高地や乗鞍の一帯は、かつては南安曇郡安曇村や(同)奈川村という地名でしたが、「平成の町村合併」で今年の4月から松本市に併合されてしまいました。要するに、(北アルプスの山々を含め)岐阜県境に至るすべての地域が松本市になった、ということを知って驚きました。

寄り道はこれくらいにして、乗鞍へ進ませていただきます。


乗鞍観光は麓の「乗鞍高原」と山頂の「畳平周辺」に分かれますが、先ずは乗鞍岳の「登頂」を目指してバスで畳平まで上りました。畳平は山頂近くの火口原で標高2,702メートルあり、岐阜県側からも道路が通じていて、自動車で到達できる日本の最高地点といわれています。ちなみに、第2位は立山有料道路(2,450メートル)、第3位は富士スバルライン(2,350メートル)で、奇しくも3路線ともマイカーでの乗り入れが規制されています。
乗鞍岳も平成15年からマイカー規制が実施されているため、乗鞍高原でシャトルバスに乗り換えて、標高差1,200メートルを約1時間かけて上ります。マイカー規制の意義と効果(とくに、渋滞回避効果は大)は理解できるのですが、シャトルバスの料金(往復2千円)をもう少し何とかして欲しいものです。(右の写真がその切符です)

麓の乗鞍高原では厚い雲に覆われてましたが、森林限界を過ぎる辺りから雲が切れ始め、畳平まで来ると胸の空くような雲上の晴天が拡がっていて、昨日の上高地からずっと秋の長雨に降り籠められてきたため、ようやく溜飲を下げることができました。

下の写真は富士見岳(2,817メートル)から見下ろした畳平です。画面正面が鶴ヶ池、右奥が岐阜県側(平湯温泉方面)へ下る乗鞍スカイライン、右手前が長野県側(乗鞍高原方面)へ下る乗鞍エコーラインです。

畳平から最高峰の剣ヶ峰(3,026メートル)までは上り1時間半、下り1時間の行程ですが、何しろ2,700メートル地点までバスで上げてもらっているので、300メートル程の高低差を登り降りすれば済むため、さほど苦労せずに誰でも3千メートルの頂きに立つことができます。

下の写真は頂上へ登る途中から見下ろした乗鞍エコーラインです。眼下に雲海を見下ろしながらシャトルバスが登ってきます。また、この近くには夏スキーで有名な大雪渓もあります。


下の写真は頂上直下の蚕王岳から撮ったもので、この辺りで標高2,979メートルになります。正面に小さな祠(乗鞍神社)の見える所が頂上です。先に、「畳平から1時間半の登り」と書きましたが、登山道は写真のようなザレ場が中心なので、足元はそれなりのこしらえが必要です。

下の写真は頂上から北方面の眺望です。(写真にカーソルを重ねると、主な目標物の名称が表示されます。)

下の写真は頂上から南方面の眺望です。手前のピークが大日岳(3,014メートル)、その先の雲海上に頭を出しているのが御嶽山(3,067メートル)です。

下の写真は頂上から西方面の眺望です。雲海の彼方にポツンと小さく頭を覗かせているのは白山です。また、眼下の権現池はかつての噴火口で、乗鞍岳にはこうした火口湖があちこちに点在します。

乗鞍岳でゆっくりし過ぎたため、乗鞍高原では残り時間が少なくなってしまい、駐車場の近くを少し散策しただけで次回に譲りました。下の写真は鈴蘭橋というところから撮ったもので、お天気がよければ紅葉の向こうに乗鞍岳を望むことができるポイントです。

下の写真は鈴蘭橋の近くにある善五郎の滝という所で、この他にも三本滝や番所大滝といった名所があって、一日いても撮りきれないくらい写材豊富なところです。
乗鞍岳には10月23日に初冠雪があったそうです。畳平への自動車道も11月1日から冬季閉鎖になりました。乗鞍高原では短い秋が過ぎて、来月からスキーのシーズンを迎えます。