(2004.7.18)


   

 

  

今回はアジサイの名所として知られる「麻綿原高原」のご紹介です。「まめんばら」と読みます。

場所は、千葉県夷隅郡大多喜町…、といってもほとんどの人は「?!」かと思いますが、要するに房総半島の先っぽの方です。大体の場所は右の地図をご覧ください。この辺りは何かと日蓮宗に所縁の深い土地で、近くには日蓮聖人降誕の地といわれる誕生寺や、若き日の聖人が法華経の悟りを開いた所と伝えられる清澄寺(いずれも日蓮宗大本山)があります。

麻綿原高原はその清澄山の東斜面に広がる丘陵地帯で、眼下には外房の海が拡がり、遥か東方には九十九里浜も望める景勝の地です。標高が300m程あるため、アジサイの花期も平地より1ヶ月程遅く、例年であれば7月いっぱいは楽しめるそうですが、今年は好天続きのため開花が早く、取材した3日(土)がちょうど見頃で、7月上旬で見納めとなったようです。

アジサイは妙法生寺という寺の境内に植えられていて、その数は2万本とも20万本ともいわれています(←幅あり過ぎ!)。妙法生寺は日蓮聖人の弟子である日向上人により建立されたが廃寺になっていたのを、昭和28年に勝浦の法華寺の住職・箕輪日受上人(現在のご住職の父君)により再興されたもので、アジサイはその時から植え続けられ丹精されて現在の大群落になったそうです。

さて、薀蓄はこのくらいにして現地の様子を報告します。取材日がちょうど見頃の週末にあたったため混雑を覚悟して行ったのですが、意外に閑散としていてちょっと拍子抜けしました。この場所は林道のような隘路を登りきった所にあるため、大型車の場合は手前の臨時駐車場から往復5キロ弱を歩かねばならないため、団体客が入らないことによると思われます。それだけに穴場です。

ここのアジサイは青色のものがほとんどで、淡青色の絨毯のように斜面を埋め尽くす様子は壮観です。また、ひとつひとつの花のサイズも大きく、花丈も大きいものは2mを超すものもあって、アジサイの群落をかき分けて鑑賞するといった趣があります。いかにも人の手により植栽された感じが気に入らないという向きもあるようですが、そのボリュームには文句なしに圧倒されます。

不気味な情報(?)もひとつ。境内で「山ヒルに注意」の立て札を発見しました。ヒルは湿気を好むので、雨の日や草むらに立ち入る場合には長靴が安心かも知れません。立て札には虫除けスプレーが有効とありました。

麻綿原高原は天然記念物の「ヒメハルゼミ(姫春蝉)」の生息地としても有名ですが、書き出すとキリがないので別稿に譲ることにします。