(2003.-9.15)


 

新宿御苑

 

「新宿御苑」については、今さら多くを語る必要はないのですが、お約束なので簡単に「おさらい」をしておきますと…

新宿御苑のある場所は、徳川家康が譜代の家臣であった内藤清成に授けた土地の一部で、内藤氏が後に信州高遠城主となってからは、同藩の江戸下屋敷がおかれていました。明治になって内務省を経て宮内省の所管となり、本格的な近代庭園として整備され、明治39年には天皇御臨席のもとに日露戦争の祝賀を兼ねた開苑式が催されたとあります。

戦前は皇室庭園として管理されましたが、戦後は厚生省の所管となり昭和24年に一般公開され、昭和46年から環境庁(省)に所管を移し現在に至っています。広さ58.3ha、周囲3.5kmの庭には、フランス式整形庭園とイギリス風景式庭園に日本庭園が巧みに組み合わされ、都心にあって貴重な緑地を提供しています。



例によって、写真をクリックすると大きい画像が見られます。

日本庭園の楽羽亭(茶室)近くにある梅園。綺麗に剪定された枝振りの形が面白くて1枚撮りましたが、葉っぱまで無くなっているのはどうして?!
楽羽亭に至る露地。ここでお抹茶を頂くことができます。季節の和菓子つきで一服七百圓也。いかにも風情のある佇まいですが、昭和62年の建造とか。  
こうした芝生の広場が随所にあって、皆さん思い思いに休日をエンジョイされています。ペットを連れての入園が禁止されているので安心して芝生に座れます。(笑)
新宿御苑名物のプラタナスの並木です。ちなみに、プラタナスは和名を鈴懸(すずかけ)といい、原種はヨーロッパから輸入されたもので、当時宮内省所管の植物園であった「新宿御苑」で育成されて、全国の街路樹に広まったといわれています。この並木が各地の街路樹として植えられているプラタナスの「親木」ということになります。(またまた蘊蓄になってしまいました)
プラタナスの並木はもう少し秋が深まると葉を全部落としてしまいますが、冬空に枝を伸ばした姿も絵になります。また、この時期は樹皮が左の写真のようにまだら模様に剥落します。自然の巧みな意匠に敬意を表して1枚謹写しました。
園内には日曜画家がいたる所でキャンバスを拡げています。皆さんなかなかの腕前で眺めていても飽きません。後ろのちょっと変わったデザインの建物は旧御涼亭(別名:台湾閣)で、皇太子(後の昭和天皇)のご成婚を記念して台湾在住邦人から寄贈されたものだそうです。

(この写真の拡大画像はありません)
日本庭園ではもうススキが穂を出していました。ススキといえばお月見。今年の中秋は9月11日でしたが、中国では中秋節が近づくと食料品店の店先に月餅が山積みになります。バレンタインのチョコではありませんが、月餅の年間売上げの八割以上がこの時期に売れるといわれます。日本の月餅は中にアンコが入ったお饅頭のようなものですが、中国の月餅はそんなおとなしいものではありません。なかでも広東省のそれは、ハム・椎茸・黄身などがぎっしりと詰まった肉マンのようなものですが、中秋節の翌日には(クリスマスケーキと同様)投げ売りされて哀れを誘います。(案の定、また脱線してしまいました)