(2002.10.20)


彼岸花咲く高麗の里

 

「埼玉県日高市」といってもご存じない方がほとんどかと思います。(日高市の方、ごめんなさい) アバウトな地図(下図ご参照)で恐縮ですが大体こんな感じです。ここに高麗(こま)川という何やらいわくありげな名前(注)の川が流れていて、それがギリシア文字のΩ(オメガ)をひっくり返したような形で大きく蛇行する箇所があって、この川に囲まれた一角が上空から見ると巾着(きんちゃく)の形に似ていることから「巾着田」と呼ばれています。

(注)奈良時代に朝鮮から渡来した人が住みついた所で地名や遺跡に多くの名残が見られます。

そして、この巾着田をすっかり有名にしたのが今回ご紹介する彼岸花です。もともと高麗川の土手や田んぼの畦に群生していたものとおもわれますが、その後、いつの頃からか人の手も入って、今ではご覧のような大群落を形成するまでになりました。シーズンにはここの彼岸花を目当てに各地から観光バスが押し寄せて大変な騒ぎです。



例によって、写真をクリックすると大きい画像が見られます。

彼岸花は鮮烈な赤色と異形の花弁から、何かまがまがしく怪異な雰囲気を漂わせる花で、おまけに茎根には毒があるといわれ(これは事実らしい)、好き嫌いのはっきり分かれる花かと思います。ついでに、花言葉も調べました、「悲しき想い出」(トホホ……)。
この日は時折小雨がぱらつく空模様でしたが開花状況はベスト。また、晴天より曇天の方が隅々まで光が回るので、どぎつい影ができなくて、こういう写材には好都合です。
黄色い彼岸花というのを初めてみました。何か別種との交雑種のようです。その後ろに写っていますが、白いのもありました。
やっぱり、どこか妖気漂うところがあります。
林の中まで拡がる彼岸花の群落。かなり生命力の強い花のようです。
彼岸花の撮影を終えて、秩父から雁坂(かりさか)峠を越えて山梨(塩山・甲府)へ向かいました。平成10年に雁坂トンネル(全長6,625メートル=一般道のトンネルでは全国最長)が開通するまでは埼玉と山梨を直接結ぶ道路はありませんでした。ちなみに、全国でもこういう箇所は他に群馬と福島のケース(ここは尾瀬を挟んでいるので道路を通せない)があるだけです。雁坂峠の一帯は首都圏にこんな山深いところがあるかと思うくらい山また山の連続で、雁坂トンネルも構想から開通まで40年、武田信玄まで遡れば構想400年ともいわれています。写真は雁坂峠直下の豆焼橋です。