(2002.-6.23)

写 真 館

房総の棚田・大山千枚田


最近、「里山(さとやま)」とか「棚田」といった言葉を耳にすることが多いと思いません? 昔は身近にあったものが開発の波に洗われて姿を消してゆくなかで、保存に力を入れなければならないことはその通りですが、土地の生活者でも何でもない部外者が「里山」とか「棚田」を語るだけで、何やら環境問題に理解あるかのように気取る風潮に、へそ曲がりの管理人は常々疑問を感じています。


(「おいおい、いきなり何を言い出すんだぁ」と引いてしまった方、ゴメンナサイ!) 「つかみ」(?!)はこれくらいにしまして、今回はその「棚田」です。棚田というと山奥の急峻な傾斜地にへばり付くように拓かれた段々畑を想像してしまいますが、多くの場合それは畑であって田ではありません。

水を引けない限りコメはできないわけですから、棚田の場合はもう少し里に近い緩斜面に拡がっていることが多いような気がします。今回ご紹介する「大山千枚田」も房総半島南部の丘陵地にあります。



ここは、「東京から一番近い棚田」という「地の利」を活かして、首都圏からオーナーを募って「棚田トラスト」というのを組成し、「保全と共生」をテーマに活動されています。詳しい内容を知りたい方は[こちら]のWEBサイトをご覧ください。
棚田トラストの「管理地」には3.2haの斜面に375枚の田んぼが展開していて、畦に至るまで除草が行き届いていますが、その周囲には雑草が生い茂った「棚田跡」が累々と拡がり、厳しい現実を垣間見ることができます。
田んぼにはゴールデンウイークに「棚田トラスト会員」が植えた苗がすくすくと育っていますが、資料によれば、この辺りは雨水に水源を求めているとかで、農作業の苦労が伺われます。
ここは、平成11年に農水省指定「日本の棚田100選」に選ばれた所で、今年8月の「第8回全国棚田サミット」の開催地にもなっているそうです。
管理人にとって棚田は初めての写材ですが、ひとつひとつ形が違う田んぼが折り重なってゆく様子、地形全体の傾きと拡がり、耕作地独特の季節感、などなど素人には手強い相手でした。