(2001.-5.20)

写 真 館

吾輩はタマである


ボクはこの家の奥さんがいつも行くスーパーの隣にあるペットショップ(倒産済!)の店先で売られていた。なかなか買い手がつかず、何度も値札が書き変えられたが、それでも買ってくれる人がなく、恨めしげな眼差しをしていた(であろう)ボクを奥さんが取り上げてくれた。今をさかのぼる9年前のことだ。以来、ボクは奥さんのことを本当のお母さんと思って慕っている。ってゆうか(!)、もの心ついたらこの家にいたので、ボクは本当のお父さんもお母さんも知らない。
「タマ」という名前をつけてもらった。最初は「ネコじゃないのに…」とちょっと抵抗もあったがすぐに慣れた。この家に来たころは今よりもっと小さくて、お母さんのエプロンのポケットがボクの遊び場だった。お母さんの次に可愛がってくれたのは当時高校生だった上のお兄さんだ。だから、今でもお兄さんが会社から帰ってくるとボクはそばを離れない。下のお兄さんもよく遊んでくれるが、ちょっと手荒いところがあるので気が抜けない。
あのころはボクも元気で、柱をかじったり、壁紙を破いたり、ふすまに穴を開けて出入りしたり、イタズラの限りを尽くした。2階まで遠征してお父さんの大切なパソコンのケーブルをかじったこともあった。ちょうどそんな頃、お父さんが3年間の海外勤務を終えて戻ってきた。ボクは見慣れない人が突然現れてビックリしたが、お父さんもボクの乱暴狼藉ぶりに声を失ったようだ。
しばらくはお父さんと「緊張関係」が続いたが、そうこうするうちに、お父さんは「地方へ出稼ぎに行く」といっていなくなった。2年ほどで帰ってきたが、ボクももう往年の元気がなくなって、ずいぶん神妙になったこともあり、今ではお父さんとも「許しあえる仲」になった。
 (顔を洗っています)
最近はボクも寄る年波に勝てず、みんなに大事にされて静かな毎日を過ごしている。家の中を縦横に駆け回っていた頃が懐かしいが、今では2階へ上がる元気もない。最近ではお天気のいい日にお母さんと庭で遊ぶのが楽しみだ。最初は土の感触に戸惑ったが、やはりDNAのどこかで忘れかけた野生の血が騒ぐ。
あまり好き嫌いはないが、(なぜか)パンには目がない。好物のブランドなんかもあって結構うるさい。お母さんが家でパンを焼くときは、ボク用の小さなパンも作ってくれるが、パン粉をこねる機械が動き出すと、居ても立ってもいられず、このときばかりは「脱兎」のように飛んでいってパン生地をねだる。


今日も庭で外遊びして疲れた。好物のパンでお腹も一杯になったところでお昼寝タイム。もともと、ボクたちは夜行性なので、昼間は寝ていることが多いため、怠けモノのように誤解されるが、何といわれようとお昼寝はウサギ冥利に尽きるひとときだ。しゃーわせ(幸せ)、しゃーわせ……。(こんな格好で失敬!)


このページの壁紙および今回使用したウサギのイラスト類は「そざいや うさぎ庵」さんから拝借しました。